アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「分かった。そういうことなら、俺も文化祭実行委員の仕事、手伝うよ」

「え、マジ?」

雛堂の、希望に満ちた表情。

さながら、砂漠でオアシスを見つけたかのよう。

そんな大袈裟な。

「出来る範囲で、だけど…」

「星見の兄さん…!あれ、気の所為かな…?星見の兄さんの背中に、天使の羽根が見える…!?」

それは錯覚だ。

「今日から星見の兄さんのこと、悠理兄さんって呼んでも良い…!?」

「ど、どうぞお好きに…」

めっちゃ感動してるようだけど。そんな大したことじゃないだろ。

「ついでに、乙無の兄さんも手伝ってくれない…!?」

「嫌ですよ。僕は邪神の眷属として果たさなければならない使命があって、忙しいんです」

「ちぇっ、邪神の眷属はケチだな。まぁいっか、悠理兄さんが手伝ってくれるってだけで、だいぶ楽になりそうだし」

…あ、そう。

役に立てるかは分からないけど…出来ることはするよ。

「ってな訳で悠理兄さん、今日の放課後、早速一緒に文化祭実行委員会に来てくんない?」

「それは…別に良いけど、委員じゃない俺が一緒に行っても良いのか?」

「だいじょぶ、だいじょぶ。別に点呼取られる訳じゃないし。なんか聞かれたら助手だって言い張るよ」

俺は助手なのかよ。

…あ、そう。まぁ、そういうことなら付き合うよ。

しかし、聖青薔薇学園の文化祭…か。

さすがに、中学校の時の文化祭とは違うだろうな。

どんな感じなんだろうな…?
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