アンハッピー・ウエディング〜後編〜
放課後。

早速俺は、雛堂と共に文化祭実行委員会に出席することになった。

「で、委員会は何処で開かれるんだ?」

「新校舎だよ。新校舎の会議室」

と、早くもうんざり顔の雛堂が答えた。

…意外。

「会議の場所、新校舎なのか…。てっきり旧校舎の空き教室かと…」

「当たり前じゃん。文化祭実行委員は、女子部の生徒も各クラスから選出されてんだから」

「あ、そうか…」

男子部だけじゃなくて、女子部にも文化祭実行委員はいるんだったっけ。

それじゃ、か弱い女子生徒を旧校舎まで歩かせる訳にはいかんよな。

むしろ、男共が歩いて新校舎まで来い、ってことだな。

この学校じゃ、それくらいは当たり前だ。

まぁ良いんじゃないの?新校舎の会議室なら、少なくともエアコンは入ってそうだし。

まだまだ残暑が厳しい今日この頃。放課後だけでも、エアコンの利いた新校舎にいられるのは助かる。

で、その新校舎の会議室で、文化祭実行委員会が行われた。

覚悟はしていたつもりだったが…雛堂が白目を剥くのも分かるほどの仕事量だった。

文化祭に関すること、何もかも全部やらされると言っても過言ではないレベル。

とても、クラスに一人の実行委員じゃ足りない。

その証拠に、女子部からはひとクラスにつき四人〜五人の文化祭実行委員が選出されていた。

男子部はひとクラスの人数が少ないので、各クラスから一人ずつだったが。

女子部の生徒が四、五人でこなす仕事を、男子部の生徒は全部一人でやってんだから。

成程、そりゃ過労で白目を剥くのも無理はない。

実行委員会に参加してみて分かったけど、思っていた通り、文化祭の規模が中学校の時とは段違い。

中学校の時は、精々文化部がステージ発表をして、各クラスで書道の作品や絵画、写真をボードに展示するのが関の山だった。

しかし、聖青薔薇学園の文化祭は、もっともっと大規模。

各クラスで出し物を企画し、屋台を出したりイベントを開催したりと大忙し。

文化祭のメインステージとなる講堂では、演劇部の公演、合唱部や吹奏楽部を始めとした音楽系部活動の発表の他。

有志でピアノやバイオリン、フルートなどの演奏も行われるらしい。

ピアノはともかく、バイオリンやフルートとは…。いかにもお嬢様学校って感じだな。

更に体育館の特設ステージでも、毎年恒例の大きなイベントが行われるらしく。

今日の会議は、そのイベントの為の打ち合わせが、主な内容だった。

そのイベントというのが、なかなかにユニークだった。






「聖青薔薇学園恒例…女装・男装コンテストか…」

「けったいなイベントだよなー」

…全くもって同感だよ。
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