アンハッピー・ウエディング〜後編〜
四人でお化け屋敷に入って、腰抜かして半泣きになってるの、俺だけかよ。
本当情けない。
ここは嘘でも良いから、虚勢を張っておきたかった。
が、そのような気力もなく。
休憩と、叫び過ぎてがガラガラになった喉を癒やす為に、俺達はデパートのカフェに立ち寄った。
「悠理君、大丈夫?私のオレンジジュース飲む?」
「…大丈夫…」
冷たいアイスコーヒーで喉を潤す。
叫びまくった喉に、アイスコーヒーが滲みるよ。
あー情けない。
こういう言い方するのは失礼だけどさ。
女性の悲鳴は、まだ聞くに堪えられる。
しかし、男の悲鳴ほど情けなく、聞くに堪えないものはないと思うんだよ。
ましてや、女性である寿々花さんは全く怯えてなくて、何が出てきても「わー」って棒読みで呟いてるだけなのに。
隣で俺だけガチ悲鳴って、そんな情けないことある?
それなのに、寿々花さんは情けない俺を笑うことはなく。
「悠理君、元気出して。私のパフェ食べて良いよ」
むしろ気を遣って、パフェを勧めてくれた。
ありがとうな。
でも、優しくされるとむしろ、自分の情けなさが身に滲みるんだわ。
「笑い飛ばして良いんだぞ。この腰抜け、って…」
いっそ、そうしてくれた方が気持ちが楽まである。
しかし。
「何で?悠理君、ちゃんと腰ついてるよ」
いや、そういうことじゃなくてな…。
「大丈夫だって、星見の兄さん。半泣きで腰抜かしてるの、兄さんだけじゃないじゃん」
「他の客は泣き喚いたり、腰が砕けて立てなくなってる人もいましたからね。それに比べたら、悠理さんはまだマシでは?」
「そうそう。叫びまくってたけど、何とか逃げずにゴール出来たもんな」
雛堂と乙無にも慰められた。
友人達の優しさが心に滲みるようだ。
「それに、自分も結構ビビったぞ。特に、あの手術台に寝そべってた…」
「あぁぁ、もう言うな。思い出させるな」
トラウマになるだろ。
何とか思い出さないように、必死に気を逸らしてるんだよ。俺は。
「あと、霊安室のアレもヤバかっ…」
「言うなって言ってるだろ、馬鹿」
あれは夢に出てくるレベル。
誰だよ、あんな演出考えた奴。絶対ろくな趣味してないって。
「いやー、楽しかったな。お化け屋敷に行って、帰りにこうしてカフェでアイス食べてさー」
と、雛堂はご満悦。
良い気なもんだ。お陰で、俺はトラウマを増やしたっていうのに。
「しかも、何だかんだ女子と一緒に過ごせたし。夏っぽいこと最高だな!」
「その女子は悠理さんのフィアンセだから、完全に脈なしなんですけどね」
という、乙無のツッコミはスルー。
「…?みゃくなし?死んでるの?」
「…こいつらの言うことは、適当にスルーして良いんだぞ、寿々花さん」
まともに相手しなくて良いから。お人好しだなあんたは。
本当情けない。
ここは嘘でも良いから、虚勢を張っておきたかった。
が、そのような気力もなく。
休憩と、叫び過ぎてがガラガラになった喉を癒やす為に、俺達はデパートのカフェに立ち寄った。
「悠理君、大丈夫?私のオレンジジュース飲む?」
「…大丈夫…」
冷たいアイスコーヒーで喉を潤す。
叫びまくった喉に、アイスコーヒーが滲みるよ。
あー情けない。
こういう言い方するのは失礼だけどさ。
女性の悲鳴は、まだ聞くに堪えられる。
しかし、男の悲鳴ほど情けなく、聞くに堪えないものはないと思うんだよ。
ましてや、女性である寿々花さんは全く怯えてなくて、何が出てきても「わー」って棒読みで呟いてるだけなのに。
隣で俺だけガチ悲鳴って、そんな情けないことある?
それなのに、寿々花さんは情けない俺を笑うことはなく。
「悠理君、元気出して。私のパフェ食べて良いよ」
むしろ気を遣って、パフェを勧めてくれた。
ありがとうな。
でも、優しくされるとむしろ、自分の情けなさが身に滲みるんだわ。
「笑い飛ばして良いんだぞ。この腰抜け、って…」
いっそ、そうしてくれた方が気持ちが楽まである。
しかし。
「何で?悠理君、ちゃんと腰ついてるよ」
いや、そういうことじゃなくてな…。
「大丈夫だって、星見の兄さん。半泣きで腰抜かしてるの、兄さんだけじゃないじゃん」
「他の客は泣き喚いたり、腰が砕けて立てなくなってる人もいましたからね。それに比べたら、悠理さんはまだマシでは?」
「そうそう。叫びまくってたけど、何とか逃げずにゴール出来たもんな」
雛堂と乙無にも慰められた。
友人達の優しさが心に滲みるようだ。
「それに、自分も結構ビビったぞ。特に、あの手術台に寝そべってた…」
「あぁぁ、もう言うな。思い出させるな」
トラウマになるだろ。
何とか思い出さないように、必死に気を逸らしてるんだよ。俺は。
「あと、霊安室のアレもヤバかっ…」
「言うなって言ってるだろ、馬鹿」
あれは夢に出てくるレベル。
誰だよ、あんな演出考えた奴。絶対ろくな趣味してないって。
「いやー、楽しかったな。お化け屋敷に行って、帰りにこうしてカフェでアイス食べてさー」
と、雛堂はご満悦。
良い気なもんだ。お陰で、俺はトラウマを増やしたっていうのに。
「しかも、何だかんだ女子と一緒に過ごせたし。夏っぽいこと最高だな!」
「その女子は悠理さんのフィアンセだから、完全に脈なしなんですけどね」
という、乙無のツッコミはスルー。
「…?みゃくなし?死んでるの?」
「…こいつらの言うことは、適当にスルーして良いんだぞ、寿々花さん」
まともに相手しなくて良いから。お人好しだなあんたは。