アンハッピー・ウエディング〜後編〜
もとより人数の少ないクラスなんだから、一人一人の負担が大きくなるのは無理もないことだ。

誰かがやらなきゃいけない役目なら、それが自分に回ってきても文句は言えない。

ましてや、俺がその役目をこなすことで、雛堂を助けられるなら。

「引き受けてやるよ。でも…手伝いはちゃんとしてくれよ?」

「ありがと、悠理兄さん。さんきゅ!やっぱり兄さんは女神だわ!」

女神ではねぇよ。

「…あなたって人は、本当お人好しですね。世渡りが下手なタイプです」

乙無が、呆れたように俺を見てそう言った。

全くだな。自分でもそう思う。

「でも、そういう人は嫌いではないですよ」

「だったら、乙無。あんたも手伝ってくれよ」

「何度言ったら分かるんですか?僕は邪神の眷属として、果たさなければならない使命があるんです。…けど」

…けど?

「まぁ、今回くらいは手を貸してあげますよ。崇高なるイングレア様の名に恥じないように」

おぉ、さすが。

そう来なくっちゃな。

「僕は邪神の眷属ではありますが、鬼ではありませんからね」

「助かるよ、乙無…。今は猫の手でも借りたい状況だからな。邪神の眷属の手なら大歓迎だ」

「全く、すぐ良い気になって…。…今回だけですからね?」

はいはい、宜しく。

天邪鬼な奴だな。ときメロのヤンキーイケメンみたいだ。
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