アンハッピー・ウエディング〜後編〜
…ほら、俺って運ないじゃん?
 
今朝も、勝手に『星見食堂』なんて決められちゃったしさ。

いや、まぁそれはクラスメイトの民意で決まったことだから、文句は言えないけど。

なんか嫌な予感はしてたんだよ。

分かるだろ?そういう時って。第六感が働くって言うか。

直感でさ、「あ、これ無理だな」って気づくこと、あるだろ?

今回の俺、それだったよ。

あみだくじが回ってきた時、既に嫌な予感はしていた。

きっと気の所為だと思って、必死に大丈夫だと思い込もうとしていた。

だって、十数人分の1だぞ?確率的には。

二分の一とかだったらまだ分かるけどさ。十何人もいる中で一人だけ、なんて。

選ばれない可能性の方が、遥かに高い訳で。

だから大丈夫、俺以外の誰かになるはず…って。

多分、皆思ってたと思う。

十何人でくじを引いて、もし自分が当たったら、そりゃもう何かに取り憑かれてるとしか思えない。

お祓いに行った方が良いよ。

そして。

そんなクラスメイト達の中から、ただ一人選ばれた不幸過ぎる生徒の名前は。

「えー。厳正なるあみだくじの結果…。女装コンテストに出場する生けに、いや代表者は…星見悠理兄さんに決まりました。はい、拍手〜」

わー、パチパチパチ。

…。

…拍手〜、じゃねぇんだよ。

何ッにも、一ミリもめでたくねーから。

それどころか、洒落にならない悲劇なんだけど?

今日だけで俺、運がないにも程があるだろ。
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