アンハッピー・ウエディング〜後編〜
翌日。

小花衣先輩は早速、従姉妹のお姉さんに話をつけてくれたらしく。

快く、制服を貸してもらえることになった。

有り難い。大変有り難い。

いや、全然嬉しくはないけど、有り難いのは確かである。

小花衣先輩も先輩の従姉妹さんも、すぐに動いてくれたお陰で。

小花衣先輩に相談を持ちかけた翌々日の放課後には、俺の手元に制服が届いていた。

3年間着た制服だから、よれよれでヘタっているかと思ったが、開けてみたらまだまだ新品みたいで。

保存状態も良好で、文句のつけようがなかった。

さすが小花衣先輩の従姉妹だけあって、こちらもお嬢様って感じだ。

ともあれ、それで衣装は手元に届いた。

小花衣先輩と先輩の従姉妹さんに、感謝。

メイド服は回避したぞ。

これで、あとは文化祭当日を待つだけ…になったが。

…気になるのは、寿々花さんの方である。




「…なぁ、寿々花さんは衣装、どうするんだ?」

「ほぇ?」

男装コンテストでの衣装について尋ねたら、相変わらずこの反応である。

おいおい。自分から立候補したんだろ?

だったら、準備くらいちゃんとしておけよ。

…って、俺も人のこと言えないけど。
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