アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「まずは…やっぱり髪だよな。女の子なら、髪長くないとなー」
とか言って。
雛堂は、持参した紙袋からとんでもないものを取り出した。
紙袋の中から、ゾロリと長い髪の毛が出てきて、思わず一瞬ビビったが。
「な、何だそれ…!?」
「何って、ウィッグだよ、ウィッグ。カツラだな」
か…。
…雛堂、あんたなんてものを。
「はい、被って被って」
「ちょ、やめろって、馬鹿。何そんなもの持ってるんだよ…!?」
「え?家の中に転がってた」
そんなものが家の中に転がってるなんて、雛堂んちはどうなってんだよ。
まさか、雛堂本人が買った訳じゃないよな?
「中坊のチビが、去年のクリスマスに友達とプレゼント交換した時にもらった、ネタプレゼントだよ」
とのこと。
雛堂の持ち物じゃなくて、雛堂の兄弟の持ち物らしい。
ネタプレゼントって…。
「家に置いておいても、誰も使わないんだからさ。こんな時に有効活用しないとな〜」
「とか言いながら、俺の頭に被せようとするなよ…!」
カツラまで被るとは言ってないぞ、俺。
しかも、最悪なのはカツラではなく。
「真珠兄さん、例のものを」
「畏まりました」
こちらも、謎の紙袋を取り出す乙無。
おい、ちょっと待て。例のものって何だよ。
何をするつもりなんだ?これ以上、俺に恥の上塗りを、
あろうことか、乙無が取り出したのは。
「お、乙無!何だよそれ…!?」
「見ての通り、メイクグッズですよ。さぁ、化粧水から塗るので大人しく座っててくださいね」
馬鹿。一体何を考えてるんだ。
「メイクって…化粧させるつもりか…!?」
聞いてない。そこまでするなんて聞いてない。
ちょっと待てよ。女装なんて、女モノの服を着るだけで良いんじゃねぇの?
カツラとか化粧とか、そこまでする必要ある?
他の二人の出場者は、そこまでしてないじゃん。
俺だけ気合い入れまくってたら、マジでそういう趣味の人かと思われかねない。
セーラー服だけでも、充分恥晒しなのに。
カツラだの、化粧だのは絶対御免だ。
「やめろ。俺に変なものをつけようとするな!」
「ちょっと、動かないでくださいよ。今塗ってるんですから」
「塗るな!っつーか、そんなもの誰から借りてきたんだ…!?」
「借りてませんよ。これは自前です」
「!?」
あまりにびっくりして、俺はそのまま、時が止まったように固まってしまった。
その間に、俺が大人しくなったとばかりに、乙無はペタペタと俺の顔に、色んなものを塗りたくり始めた。
…妙に、慣れた手付きで。
…自前?自前って言ったよな?
なぁ、俺あみだくじに負けて、こうして女装コンテストの犠牲者に選ばれたけど。
もしかして俺じゃなくて、乙無を選んでいれば、万事解決していたのでは…?
とか言って。
雛堂は、持参した紙袋からとんでもないものを取り出した。
紙袋の中から、ゾロリと長い髪の毛が出てきて、思わず一瞬ビビったが。
「な、何だそれ…!?」
「何って、ウィッグだよ、ウィッグ。カツラだな」
か…。
…雛堂、あんたなんてものを。
「はい、被って被って」
「ちょ、やめろって、馬鹿。何そんなもの持ってるんだよ…!?」
「え?家の中に転がってた」
そんなものが家の中に転がってるなんて、雛堂んちはどうなってんだよ。
まさか、雛堂本人が買った訳じゃないよな?
「中坊のチビが、去年のクリスマスに友達とプレゼント交換した時にもらった、ネタプレゼントだよ」
とのこと。
雛堂の持ち物じゃなくて、雛堂の兄弟の持ち物らしい。
ネタプレゼントって…。
「家に置いておいても、誰も使わないんだからさ。こんな時に有効活用しないとな〜」
「とか言いながら、俺の頭に被せようとするなよ…!」
カツラまで被るとは言ってないぞ、俺。
しかも、最悪なのはカツラではなく。
「真珠兄さん、例のものを」
「畏まりました」
こちらも、謎の紙袋を取り出す乙無。
おい、ちょっと待て。例のものって何だよ。
何をするつもりなんだ?これ以上、俺に恥の上塗りを、
あろうことか、乙無が取り出したのは。
「お、乙無!何だよそれ…!?」
「見ての通り、メイクグッズですよ。さぁ、化粧水から塗るので大人しく座っててくださいね」
馬鹿。一体何を考えてるんだ。
「メイクって…化粧させるつもりか…!?」
聞いてない。そこまでするなんて聞いてない。
ちょっと待てよ。女装なんて、女モノの服を着るだけで良いんじゃねぇの?
カツラとか化粧とか、そこまでする必要ある?
他の二人の出場者は、そこまでしてないじゃん。
俺だけ気合い入れまくってたら、マジでそういう趣味の人かと思われかねない。
セーラー服だけでも、充分恥晒しなのに。
カツラだの、化粧だのは絶対御免だ。
「やめろ。俺に変なものをつけようとするな!」
「ちょっと、動かないでくださいよ。今塗ってるんですから」
「塗るな!っつーか、そんなもの誰から借りてきたんだ…!?」
「借りてませんよ。これは自前です」
「!?」
あまりにびっくりして、俺はそのまま、時が止まったように固まってしまった。
その間に、俺が大人しくなったとばかりに、乙無はペタペタと俺の顔に、色んなものを塗りたくり始めた。
…妙に、慣れた手付きで。
…自前?自前って言ったよな?
なぁ、俺あみだくじに負けて、こうして女装コンテストの犠牲者に選ばれたけど。
もしかして俺じゃなくて、乙無を選んでいれば、万事解決していたのでは…?