アンハッピー・ウエディング〜後編〜
秋惜しむ頃の章1
記憶から消去したい、文化祭が無事(?)に終わり。

トラウマを彷彿とさせる衣装も、それぞれ本来の持ち主に返した。

小花衣先輩にセーラー服を返す時、小花衣先輩はにこにこしながら、「見てたわよ、コンテスト。とっても似合ってたわ」とか言われた。

聞こえなかったことにした。

連日に渡って行われていた、放課後の文化祭実行委員の仕事も終わり。

「やっと終わったぁぁ!」と雛堂は渾身のガッツポーズを決めていた。

良かったな。

来年は、別の委員になれると良いな。…お互いに。

さて、それはともかく。

ようやく、いつもの平和な日常が戻ってきた。

あんなに残暑が厳しかったのに、ここ数日は、めっきり朝晩が冷えるようになり。

扇風機も片付けて、夏用のブランケットも片付けて。

そろそろ、毛布やこたつの出番かなぁ…と思い始めた、今日この頃である。

衣替えとか、冷房器具を片付けて暖房器具を押し入れから出す時ってさ。

紅葉を見るより、松茸を食べるより、「あぁ、秋だなぁ」と強く思うよな。

これって俺だけ?

…まぁ、松茸なんて食べたことないんだけどさぁ…。

…ともあれ。

文化祭が終わって、一週間ほど経った頃。

放課後、いつものように買い物を済ませて帰宅すると。

寿々花さんはリビングのテーブルにスケッチブックを広げ、クレヨンで絵を描いているところだった。

「もーいくつ寝ーるーとー♪はっぴーはろうぃーん♪」

「…」

…謎の替え歌を歌いながら。
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