アンハッピー・ウエディング〜後編〜
さぁ、自称邪神の眷属の反応や如何に。

火を噴いても知らないからな。

その程度、って自分で言ってたんだから、宣言通り食べてもらおうか。

「もぐもぐ…」

乙無は、普通の顔をして咀嚼していた。

俺なんて、小さじ一杯未満で口の中が地獄と化したというのに。

乙無は、普通の顔で食べていた。

…え?大丈夫なのか?

てっきり、俺と同じく噎せ返るものかと…。

「大丈夫…なのか?」

「何がですか?」

「いや…辛いのに…」

「別に平気ですけど」

マジで?強がってる訳じゃなくて?また痩せ我慢してるとかじゃなくて?

これには、俺も雛堂もびっくり。

てっきり…普通の人なら…火を噴いて吐き出すところだが。

もぐもぐと咀嚼して、そのままごくん、と飲み下した。

…食べちゃった。

「…大丈夫か?」

もう一回聞いてみた。

いきなりこの場にぶっ倒れたら、どうしようかと思って。

しかし、そのようなことはなく。

「平気だって言ったじゃないですか」

「乙無…あんた甘党だと思ってたけど、辛党でもあるのか…?」

「人間の尺度で物を言わないで欲しいですね。何度言ったら分かるんです。僕は邪神イングレア様から高潔なる血を授かった身。刺激物だろうが毒だろうが、僕の身体に傷をつけることは出来ません」

へー、そりゃ凄いですね(棒)。

とりあえず、あんたの味覚は常人離れしてるってことで、納得。
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