アンハッピー・ウエディング〜後編〜
俄然、ハロウィンパーティーを開かなければならなくなった。

我が家にある、大量のうんまい棒かぼちゃさつまいも味を、誰かに消費してもらわなければ。

雛堂と乙無に押し付けまくろうぜ。

「何で同じ味のお菓子を、こんなに大量に注文するんだ。途中で飽きたらどうするんだ?」と、当然の説教をしたものの。

寿々花さんは、何故自分が怒られているのか、さっぱり分からないらしく。

きょとんと首を傾げて、「美味しいものなら、毎日いくら食べても飽きないよ?」とのこと。

そりゃまぁ、そうかもしれないけど。

でも、そういうことではないだろ。

「いくら美味しいものでも、毎日山ほど食ってたら飽きるだろ?」

「ううん。私、悠理君のオムライスだったら毎日食べても飽きないもん。それと一緒だよ」

と、謎の理屈を展開。

褒められてるんだかそうじゃないんだか、いまいち分からない。

「それに悠理君だって、毎日食べても飽きないものはあるでしょ?お米とかパンとか。小さい時から毎日食べてるけど飽きないでしょ?」

「それは…うん。そうだな…」

ちょっと納得してしまった自分がいる。

いや、違うだろ。うんまい棒は違うだろ。

白米やパンは主食だから飽きないのであって。うんまい棒はお菓子じゃん。

それなのに、寿々花さんは。

「だったら、うんまい棒でも大丈夫だよ。きっと毎日美味しく食べられるよ。良かったー」

…何が良かったんだ?

更に説教しようと思ったのだが、謎の理屈を展開されるわ、良いように丸め込まれるわで。

結局のらりくらりと躱され、説教終了。

「ハロウィンパーティー、楽しみだねー」

「…あ、そう…」

「お家の中、飾り付けしよーっと」

うきうきと、ハロウィンを楽しみにしている寿々花さんの顔を見ていると。

それ以上、説教なんて出来るはずもなく。

…ズルくね?なんかすげーズルくね?

あぁ、もう良いや。考えるのが面倒になってきた。

余ったらこれ全部、雛堂と乙無に押し付けよう。それで解決ってことで。
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