アンハッピー・ウエディング〜後編〜
…翌朝。

「…やべっ」

俺は、慌ててベッドから飛び起きた。

昨夜、寝るまでずっと考え事をしていたせいだろうか。

いつもより早めに床に就いたはずなのに、目が覚めたのはいつもより一時間も遅くなってからだった。

いくら土曜日とはいえ、これ以上は不味い。

早く起きて朝ご飯作らないと、寿々花さんが、

「…って、あの人はイタリアなんだった…」

そう思い出して、俺はベッドに座り直した。

ってことは、急ぐ必要なんてないのだ。

用意する食事は自分の分だけ。その他の家事も全部一人分。

いくら手抜きをしても、誰にも迷惑をかけない。

一人って気楽。最高だな。

何なら、昼過ぎまで二度寝しようかな?

そう思って、再び横になってみたが…。

…全然眠気が来なくて、10分くらい横になっていただけで、やっぱり起きた。

一度目が覚めてしまったら、もう眠れないタイプ。

仕方ない…起きるか。

着替えてリビングに降りても、当然だがそこには誰もいなくて。

相変わらず、家の中はしーんと静まり返っていた。

…無駄に家の中が広いせいで、余計がらんどうな雰囲気になるんだよな。

あぁ、もう考えるのやめよう。

そうだ、掃除。寿々花さんがいない間に大掃除しようと思ってたんだった。

さっさと朝飯食べて洗濯して、掃除を始めよう。





…と、思ったのだが。
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