アンハッピー・ウエディング〜後編〜
筋肉痛で遅刻か…。間抜けなように見えるが、俺達は必死なんだぞ。

大袈裟だと思うなら、今すぐ外に出て20キロ走ってこいよ。

翌日、今俺が言ったことの意味が分かるだろう。

「…あ、チャイム鳴った…」

「鳴りましたね」

まだ、クラスメイトの半分が登校していないのに。

無情にも、朝のホームルーム開始時刻を告げるチャイムの音が鳴り響いた。

キンコンカンコーン、ってなもんだ。

すると、そこに。

「はぁーっ!間に合ったー!」

「あ、雛堂…」

勢いよく、ガラッと教室の扉を開けて。

遅れ馳せながら、雛堂が登校。

いや、あんた間に合ってないから。普通にアウトだから。

まだ先生が教室に来てなくて助かったな。来てたら完全にアウトだったぞ。

「遅かったな…」

「仕方ねぇだろ!太腿も脹脛も足首も、全部いてーんだよ!」

言うな。俺だって痛いんだよ。

「それに、こんな日に限って朝っぱらからチビ共もうるせーしよ。身体中いてぇし。スーパーに寄って昼飯のパンも買ってこないといけなかったし。悠理兄さんにメールも入れなきゃいけなかったしさー」

昼飯のパンは仕方ないにしても、俺へのメールは要らんだろ。

そんな余計なことしてないで、少しでも早く学校に来い。

「そうまでしたのに、悠理兄さんはメール返してくれないし!薄情じゃね!?」

うるせぇ。さっきも言っただろ。俺だって痛いんだよ。

「うぉぉぉぉ、全身が軋む…。叩かれ過ぎた布団のような気分だ…」

「…言うな…」

「全く。軟弱者が二人…」

畜生。乙無の奴、一人だけ余裕そうな顔しやがって。

本当は痩せ我慢してる癖に。

俺達だけじゃない。多分、今ここにいるクラスメイトの全員が、痩せ我慢しているに違いない。
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