アンハッピー・ウエディング〜後編〜
…結局。

雛堂の後、筋肉痛のせいで遅刻したクラスメイトが二人、遅れて駆け込んできたものの。

その他のクラスメイトは…つまり、クラスメイトの三分の一くらいは…今日、お休みだって。

多分筋肉痛と、前日の疲労で起き上がれなかったに違いない。

こんなことなら、やっぱり俺も休めば良かった。

他にも、何とか登校はしたものの…やはり無理していたのか。

青い顔をして、ホームルームの途中で保健室に担ぎ込まれたクラスメイトが1名。

その姿に触発されたとでも言うのだろうか。ホームルームが終わった後に、目眩を訴えて保健室に連れて行かれたクラスメイトも、1名。

恐らく、犠牲者はまだまだ増えるものと思われます。

結局、クラスメイト半分くらいいなくなってしまった。

今頃保健室は、体調不良を訴える男子生徒で溢れ返ってるんだろうなぁ。

俺も正直、その中に仲間入りしたい気分だったが…。

まぁ、それは今日の一時間目が終わってから考えよう。

今日も勿論、先生達がいない為、通常の授業は行われない。

…代わりに。

新校舎から、臨時で女の先生が一人、派遣されてきた。

…非常に嫌な予感。

「おっ…!見ろよ、悠理兄さん。新校舎の先生って美人揃いだよなぁ」

教室にやって来たその先生を見て、雛堂が密かにはしゃいだ声を上げた。

おい、授業中だぞ馬鹿。喋んな。

つーか、あんた余裕じゃないか。

「この先生はクールビューティーって感じじゃないな。…高飛車女子って感じ…?これはこれでアリだな。なぁ悠理兄さん」

「あんた、そんなに余裕なら、今日も走るか?」

そして、その頭の中の煩悩を一掃してきたらどうだ。

しかし、今日の高飛車系先生の担当科目は、体育ではない。

新校舎で、芸術を教えている先生だそうだ。

へぇ、芸術…。

ってことは、肉体労働系の何かをやらされる、ということはなさそうだ。

それはちょっと安心したな。

高飛車先生は、本日の授業内容を説明する前に、教室をぐるりと見渡し。

「…それにしても、何だか今日は生徒が少ないですね。どうかしたんですか?」

不思議そうに首を傾げて、俺達にそう尋ねた。

まさかサボタージュ…?とでも疑ってそうな目をしていたが。

「あんたんとこの体育教師のせいだよ!」と叫びたいのを、多分クラスメイト全員が我慢していたと思う。

「まぁ、いっか。それじゃあ今日の授業内容を説明します」

気を取り直して、とばかりに。

高飛車芸術教師は、今日の授業の内容を説明し始めた。

昨日の授業も、大概面倒臭かったけど。

今日の授業も、負けず劣らずであった。

…今日、学校休んだ人は正解だったな。
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