アンハッピー・ウエディング〜後編〜
…そんな感じで、映画鑑賞会が始まった訳だが。

何の映画かと思っていたら、まさかの戦争映画だった。

画面の中で、弾丸がぴゅんぴゅん飛び交い、空から爆弾がドカーン、と落ちてくる。

阿鼻叫喚の戦場を、敗走の兵隊達が逃げ惑っている。

非常に…手に汗握る展開のは分かるが。

なんか…予想の斜め上なんだが?

芸術的な心、養えるか?この映画。

戦火に引き裂かれた親子の絆とか、将来を誓い合った恋人同士の死別、共に故郷からやって来た戦友の死。などなど。

ひたすら、悲しい場面が続く。

第二次世界大戦のヨーロッパで、実際にあった話を題材にしているそうだが。

テーマが重いし、次々と悲しいことばっかり起こるから。

別の意味で、画面から目が離せません。

見るに耐えなくなったのか、クラスメイトの何人かが。

これ以上見たくないとばかりに、顔を背けていたが。

高飛車系芸術教師は、「目を逸らさずに、ちゃんと観ないといけません」と言って、無理矢理観させていた。

非常に気分が重いです。

美しい歴史的建造物とか、罪のない老人や子供、負傷者が集まる病院でさえ、容赦なく爆撃されて瓦礫の山と化し。

戦場では、逃げ惑う兵隊達が一方的に蹂躙され。

この悲劇的な物語を、最終的にどうまとめるのかと思いきや。

仲間を全て殺され、武器弾薬も尽き、背水の陣と化した主人公は。

特攻とばかりに、最後に残った自決用の手榴弾を抱いて、敵戦車に突撃。

…しようとしたが、敵戦車に届く前に、狙い撃ち。蜂の巣にされて事切れるシーンで、エンディングとなった。

…何?この胸糞映画。

これが芸術なんですか?

何とも重い気持ちで、映画終了。

身体も重いし、おまけに気分まで重くなって、足取りも重く旧校舎に帰り。

原稿用紙を配られて、感想文を書くように言われた。

ぶっちゃけ、「とても重い気持ちになりました。こんな芸術は嫌です」以外の感想なんて何もないんだけど。

思いの丈を思いっきりぶち撒けてください、と言わんばかりに原稿用紙を5枚も配られた。

400✕5で、2000文字。

書くことねーよ。そんなに。

足りなくなったらまだまだありますから、と教卓の上に新品の原稿用紙をドサッ、と置いた。

5枚だけでもお腹いっぱいなのに、追加の用紙なんて要らねーよ。

午後に討論会するなら、午前中のうちに書き上げておかないといけないし。

果たして、原稿用紙5枚も書くことあるのだろうか…?
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