アンハッピー・ウエディング〜後編〜
頼むから。頼むから今日はもう、新校舎からの出張教師なんて来ませんように…と。

心の中で、必死に祈っていたのだが。

そんな俺達を嘲笑うように。

「おはようございまーす!男子部の一年生の皆さん」

一時間目の授業が始まるなり、元気いっぱいの様子で教室に入ってきたのは。

…勿論、新校舎から遥々やって来た、女の先生であった。

…来てしまったか。

クラスメイト全員の、落胆の声が聞こえてきたような気がした。

俺も含めてな。

「あれっ?何だか皆さん、表情が暗くないですか?」

あんたのせいだよ。

そりゃ表情暗くもなるわ。連日、通常の授業より面倒臭い課題続きで。

今度は何だ?あんたは何の担当なんだ?俺達に何をさせるつもりだ?

「今度の先生も美人だなー、おい。この先生は…天真爛漫系美人って感じ?」

雛堂が、ひそひそにまにまと俺に話しかけてきた。

知らねーし。俺に言うな。

あんた、昨日一昨日と新校舎からの出張教師に酷い目に遭わされたというのに。

まだ「美人」だとか何だとか言ってる余裕があるのかよ。

警戒心剥き出しの俺達に、その天真爛漫系教師は。

「それじゃあ、皆さん。元気を出してー…今から新校舎の家庭科室に行って、調理実習をしましょう!」

と、高らかに宣言した。

その時に、俺達は知ったのだった。

この天真爛漫系教師が、新校舎の家庭科担当教師だということを。

…調理実習だと?

案の定、また面倒臭い課題を持ってきたな。
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