アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「カレー、カレー…こっちかな?」

そう、そのまま進むんだ。良いぞ。

てくてく、とカレー粉を売っているレトルト食品売り場に向かう寿々花さん。

ここまで来たら、もう辿り着いたようなもの。

そこにあるだろ?たくさんカレー粉が並んで、

「…やっぱりあっちかな?」

おい。そこだって。

目の前にあるだろ。よく見るんだ。

しかし寿々花さんは、目の前に正解があることに気づいておらず。

そのままカレー粉売り場に背を向けて、反対方向に歩き始めてしまった。

あぁ…気づいてもらえなかったカレー粉の皆さんが、血の涙を流している。

一体何処に向かおうとしてるんだ、あのお嬢様は。

「…もしかして、このスーパーには売ってないのかな?」

スーパーのせいにしようとするな。

すると。

「…あ」

ふと、足を止める寿々花さん。

何かに気づいたようだ。

「見つけた」

何?

売り場が違うはずなんだけど?そこにも置いてあったか?

寿々花さんの手元をよく見ると、そこには。

「カレーって書いてあるし、きっとこれだね」

寿々花さんが立っているのは、レトルト食品ではなく、パンコーナー。

そして寿々花さんが手に持っているのは、カレー粉じゃなくて…カレーパン。

違う、それカレー違い。

どうやったら、パンとカレー粉を間違えるんだよ。

「よし、これで買わなきゃいけないものは全部揃ったね。良かったー」

何にも良くない。

買い物メモに書いたもの、何一つ買ってないぞ。
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