アンハッピー・ウエディング〜後編〜
ちなみに、その後実食した。

味の方は…うん。

あれだよ、まぁ…察しろ。

お洒落な材料を使ったからって、味までお洒落で美味しくなると思ったら大きな間違い。

ってことがよく分かる調理実習だったな。

不味くはないぞ?さすがに。

不味くて食べられないってほどではない。けども…。

…やっぱり普通のピザの方が美味いな。

それから。

「…シャインマスカットって美味いんだなー」

「本当にな…」

間違いなく、このシャインマスカットが今日一番美味しかったよ。

これだけはピザに乗せられなかったから、洗ってそのまま食べたけど。

無理矢理ピザに乗せて、魔改造したりしなくて良かった。

いやぁシャインマスカット美味しい。最高。

多分、黙々と食べてたクラスメイト全員が同じことを考えてると思う。

…一方。

「折角のスノーホワイトをソースにするなんて…。素材の味だけでも美味しいのに、こんな濃い味付けにするなんて…」

皆が不満を呑み込んで我慢しているのに、天真爛漫系家庭科教師だけは、ブツブツと文句を言っていた。

うるせぇ。文句を言うな。

これでも相当頑張ってるだろうが。

まともな食材と、そしてまともなレシピを用意してから言え。

折角のイタリアン食材が勿体ないって?そんなの俺が一番思ってるっつーの。

畜生。

俺達が今こうしている間も、寿々花さん達は。

本場のイタリアレストランで、本物のイタリアン食材を使った、本当のイタリア料理を食べてるんだろうなと、思うと。

何だか俺、凄く負けたような気がする。

…寿々花さん達が優雅にヨーロッパ修学旅行をしている最中に、こんなところで調理実習している時点で、圧倒的敗北のようなもんだけどな。
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