アンハッピー・ウエディング〜後編〜
何でも良いよ。バルサミコ酢でもカルチョーフィでも。

外国産のインスタントラーメンを大量購入した訳じゃ(ry。

「ありがとうな、お土産。いっぱい…」

「嬉しい?喜んだ?」

「うん、嬉しい嬉しい。ありがとう…」

「良かったー。悠理君が喜んでくれて。いっぱい頑張って選んだんだよー」

そ、そうか。

そう言われちゃ…お土産に文句なんて言えないよなぁ。

こういうのって、やっぱり品物がどうとかいうより、心だと思うんだよ。

心がこもってたら、どんなお土産でも大抵は嬉しいものだ。

そう思えば、この大量のバルサミコ酢も心温まるお土産に見え、

「…それから、これもいっぱい買ってきたよ」

「…何それ?」

寿々花さんは、イタリア語らしきロゴの入った、白い紙袋を取り出した。

…パンパンに膨らんだ、白い紙袋を。

…何だろう。さっきフラグは回避したはずなのに、また嫌な予感が…。

「…見ても良いか?」

「良いよー」

恐る恐る、紙袋の中を覗いてみると。

そこには大量の…外国産、インスタントラーメン。

「…」

…成程。

結局…そういうオチになるのな?OK。

「悠理君が買わなくて良いって言ってたから、見かけても我慢してたんだけど…」

と、言い訳を始める寿々花さん。

「旅行の最後に、空港の免税店を歩いてたら…いっぱい売ってたんだー」

「…で、我慢出来なくなったんだな?」

「えへへ」

笑って誤魔化そうとするんじゃありません。

くっそ…。旅行の最後の最後で、落とし穴にハマってしまうとは…。

「空港のお店で買ったから、イタリアだけじゃなくて、色んな国のインスタントラーメンがあるんだよ」

「そうだろうな…」

またしても、怪しいパッケージのインスタントラーメンがたくさん。

我が家の休日の昼食が、また恐ろしいことに。

「こんの…お馬鹿は…」

…買ってきてしまったものは、もう仕方がない。

返品しに行きなさい、と言う訳にもいかないだろう。イタリアまで返品しに行く奴があるか。

買ってくるなって言ったのに、と怒りたい気持ちは山々だが。

…寿々花さんの修学旅行だからな。寿々花さんが欲しいと思うものを買ってくるのが当然だよ。

俺に口出し出来ることじゃない。そうだろ?

…何より。

「寿々花さん…修学旅行、楽しかったか?」

「ふぇ?うん。楽しかったよー」

にこにこと、心底嬉しそうにそう答えた。

…そうか。それなら良い。

寿々花さんが旅行を楽しんできたのなら、それが一番だよ。

そう思うことにしよう。




…とりあえず。

「…消臭剤、買ってきておくかな」

俺に出来るのは、精々そのくらいである。
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