アンハッピー・ウエディング〜後編〜
ケーキのみならず、俺達はしこたまお菓子を食べた。

ハロウィンパーティーと言うか、ほぼお菓子パーティーになってる気がする。

…と言っても、主に、寿々花さんが大量購入したうんまい棒かぼちゃさつまいも味を筆頭に。 
 
それから、事前にスーパーで買い込んできた袋分けされたお菓子。

ついでに、乙無が持ってきてくれた菓子折りのクッキー。

飲み物は、市販のオレンジジュースかトマトジュース(色がハロウィンっぽいかと思って)だった。

ハロウィンパーティーって、一般的にこういうものなんだろうか。

やったことないから分からないけど。

まぁ、でも寿々花さんが楽しそうだから何でも良いや。

その後は、暇潰しがてらにゲーム機を引っ張り出し。

四人対戦で、某レースゲームや、寿々花さんが天下を取ったアクションゲーム、『スマシス』をプレイした。

いつまで経っても俺、このゲーム全然上手くならない。

練習してないから当たり前だけど。

そして。

「畜生、無月院の姉さんが強過ぎる…!」

「悠理さんは勝手に自滅してるから放置しても良いですが、寿々花さん一人が強過ぎて勝てませんね」

「えへへ」

俺&寿々花さん、雛堂&乙無ペアでチーム対戦したところ。 

俺は一人で崖の下に墜落、寿々花さんの足を引っ張りまくり、チームに何ら貢献出来ていなかったが。

代わりに寿々花さんが、相変わらず凄まじいスマシスの腕前を発揮。

実質2対1状態なのに、それでも勝ってしまうのだから凄い。

そして、寿々花さんに超申し訳ない。

「ごめんな、寿々花さん…。俺、何の役にも立ってない…どころか、クソ雑魚で…」

「大丈夫だよ、悠理君。悠理君にはたくさん良いところがあるもん。赤ずきんちゃんの服だって似合ってるし」

「…全然嬉しくないフォローをどうも…」

それ、慰められるどころか逆に傷つくからな。

…これ以上ゲームを続けたら、あまりの俺の下手くそぶりにいたたまれなくなるので。

「ゲーム以外のことやろうぜ…頼むから」

「ゲーム以外のことって?」

「何でも良いよ…」

テレビゲームは向いてない。俺には無理だ。

幸い、遊ぶ為の道具なら、我が家には色々ある。

おままごとセット、お絵描きセット、間違い探しにシャボン玉。どれでもお好きなのをどうぞ。

…幼稚園児か?

寿々花さんが遊ぶ分には別に良いけど、俺や雛堂達はもうちょっと、年齢層の高い遊びにしてくれ。

「じゃあ、怖い映画観よっか」

と、寿々花さんがとんでもないことを言った。

…はい?

「いっぱいあるよ、怖い映画。前にもらったのと、後で自分で買ったのもあるから」

「おっ、良いねぇ。何か物足りないと思ってたところだよ。ここは景気良く、無月院の姉さんおすすめのホラー映画を観ようぜ」

「いかにもハロウィンらしいですね」

ちょっと待て。俺、確かにゲーム以外なら何でも良いとは言ったけど。

ホラー映画観るなんて、一言も言ってない。
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