アンハッピー・ウエディング〜後編〜
我が家に宅配便が届くのは珍しいことではない。

が、それは大抵の場合、寿々花さん宛ての荷物である。

当然だよ。俺は通販で注文なんかしてないし。

だから、俺に荷物が届くことはないはずなのに。

しかも、結構大きな段ボール箱。

何だそれ?

身に覚えのない荷物を受け取るのは危険である。

「ちょ、ちょっと…。ちょっとだけサンマ見ててくれ」

「うん。任せてー」

ちょっとだけ。ほんの一瞬だけだから。

俺は寿々花さんにサンマを任せて、俺宛ての荷物を確認した。

送り主の名前を見て、納得した。

俺の母からの荷物だった。

成程、そんなことだろうと思いました。

「母さんが…。…何送ってきたんだろう」

段ボールの中を開けてみて、納得した。

…成程、そういう時期だな。確かに。

母さんにお礼のメールを送っておこう、とスマホを見ると。

母さんからメールが来てたよ。荷物送ったからね、って。

今気づいた。ごめん母さん。

折角送ってくれたから、早速外に出したいところだったが…。

…それは、サンマを食べた後だな。

「悠理君。お魚さんじゅーじゅー言ってる」

「あー、はいはい。そろそろ焼き上がった頃だな」

母さんからの荷物は、申し訳ないけど後回しにして。

寿々花さんがサンマを炭化させる前に、キッチンに戻ろう。



…その後食べた焼き立てのサンマは、それはもう素晴らしく美味しかった。

秋の味覚万歳。
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