アンハッピー・ウエディング〜後編〜
で、食後に改めて。
俺は庭に出て、先程送られてきた荷物の中身を開けた。
すると、そこに。
「悠理君、何してるのー?」
お。寿々花さんが釣られて来たな。
何にでも興味を持ちたいお年頃。
そして、俺の手元を見てきょとんと首を傾げていた。
「…それ、なぁに?」
「見たことあるか?…何だと思う?」
「…新しいカーテン?」
残念。ハズレ。
カーテンっぽく見える気持ちは分かるけどな。
「悠理君って、面白い趣味だねー。こんな珍しいカーテン、初めて見た」
「ちょっと待て。違う。俺の趣味じゃなくて」
「大丈夫だよ。趣味は人それぞれだもん。悠理君がどんなヘンテコな趣味の持ち主でも、私は全然気にしな、」
「趣味じゃねーっての!干し柿だよ、これは。ほ、し、が、き!」
「…ふぇ?」
…ふぇ、じゃないんだよ。全く…。
「実家から、干し柿が送られてきたんだよ」
さっき寿々花さんが受け取ってくれた、俺宛ての荷物。
あの中身は、母が送ってくれたたくさんの干し柿だった。
と言っても、まだ食べられない。正確には干し柿ではなく…渋柿を下拵えしてロープに吊るし、あとは干すだけ、の状態にしたもの。
だから、こうして風通しの良い庭に、すだれのように干しているのである。
「実家では毎年、この時期になるとこうして干し柿を作ってたんだよ」
「…そうなの?」
「あぁ。俺、小さい頃からよく干し柿食べてたからな」
近所に、庭に柿の木が生えてる家があってさ。
そこの家の人が、毎年渋柿をたくさん分けてくれて。
この自然な甘みのお菓子が、俺にとっては小さい頃からお馴染みのおやつだったんだよ。
…我ながら渋い好みしてるよな。…渋柿だけに。
でも、美味いものは美味い。
今年からはもう実家にいないから、干し柿は食べられないと思っていたが…。
母さんは俺の好物をしっかり覚えていて、こっちでも食べられるように、こうしてたくさん送ってくれたんだろう。
何だか照れ臭い気分である。
「これ、悠理君の好物なの?」
「そうだよ」
「…美味しいの?食べ物なの?」
「食べ物だよ。ちゃんと」
干し柿知らないのか、寿々花さん。
まぁ、あんまり子供受けするおやつじゃないのは、百も承知。
意外と美味しいんだけどなぁ。食わず嫌いせず、一度試しに食べてみて欲しい。
「出来上がったら、寿々花さんにも食べさせてあげるよ」
「本当?やったー。楽しみ」
干し柿を楽しみにするお嬢様なんて、日本広しと言えども寿々花さんくらいだろうな。
口に合えば良いのだが。
俺は庭に出て、先程送られてきた荷物の中身を開けた。
すると、そこに。
「悠理君、何してるのー?」
お。寿々花さんが釣られて来たな。
何にでも興味を持ちたいお年頃。
そして、俺の手元を見てきょとんと首を傾げていた。
「…それ、なぁに?」
「見たことあるか?…何だと思う?」
「…新しいカーテン?」
残念。ハズレ。
カーテンっぽく見える気持ちは分かるけどな。
「悠理君って、面白い趣味だねー。こんな珍しいカーテン、初めて見た」
「ちょっと待て。違う。俺の趣味じゃなくて」
「大丈夫だよ。趣味は人それぞれだもん。悠理君がどんなヘンテコな趣味の持ち主でも、私は全然気にしな、」
「趣味じゃねーっての!干し柿だよ、これは。ほ、し、が、き!」
「…ふぇ?」
…ふぇ、じゃないんだよ。全く…。
「実家から、干し柿が送られてきたんだよ」
さっき寿々花さんが受け取ってくれた、俺宛ての荷物。
あの中身は、母が送ってくれたたくさんの干し柿だった。
と言っても、まだ食べられない。正確には干し柿ではなく…渋柿を下拵えしてロープに吊るし、あとは干すだけ、の状態にしたもの。
だから、こうして風通しの良い庭に、すだれのように干しているのである。
「実家では毎年、この時期になるとこうして干し柿を作ってたんだよ」
「…そうなの?」
「あぁ。俺、小さい頃からよく干し柿食べてたからな」
近所に、庭に柿の木が生えてる家があってさ。
そこの家の人が、毎年渋柿をたくさん分けてくれて。
この自然な甘みのお菓子が、俺にとっては小さい頃からお馴染みのおやつだったんだよ。
…我ながら渋い好みしてるよな。…渋柿だけに。
でも、美味いものは美味い。
今年からはもう実家にいないから、干し柿は食べられないと思っていたが…。
母さんは俺の好物をしっかり覚えていて、こっちでも食べられるように、こうしてたくさん送ってくれたんだろう。
何だか照れ臭い気分である。
「これ、悠理君の好物なの?」
「そうだよ」
「…美味しいの?食べ物なの?」
「食べ物だよ。ちゃんと」
干し柿知らないのか、寿々花さん。
まぁ、あんまり子供受けするおやつじゃないのは、百も承知。
意外と美味しいんだけどなぁ。食わず嫌いせず、一度試しに食べてみて欲しい。
「出来上がったら、寿々花さんにも食べさせてあげるよ」
「本当?やったー。楽しみ」
干し柿を楽しみにするお嬢様なんて、日本広しと言えども寿々花さんくらいだろうな。
口に合えば良いのだが。