アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「はぁ、はぁ…重かった…」

「悠理君、荷物がいっぱい…。よし、私が持ってあげるー」

「あ、いや寿々花さんには重、」

い、かと思ったけど。

何のことはない。寿々花さんが俺より力持ちであることは、この間のハロウィンパーティーで証明されている。

俺がヒーヒー言いながら持って帰った荷物を、寿々花さんは平然とヒョイッと持ち上げ。

普通にてくてくとリビングに運んでくれた。

さすがである。

お土産のモンブランを食べるのは後にして、早速…。

「買ってきたよ、クリスマスツリー」

「ふぇっ。本当?」

「あぁ。気に入ってくれると良いんだが…」

と言いながら、早速買ってきたばかりのクリスマスツリーの箱を開けた。

箱の中には、電飾付きのでっかい緑色のモミの木が入っている。

俺、クリスマスツリーと言えば緑色しかないものと思っていたけど。

全然そんなことないのな。

まるで雪を被ったような白いツリーや、爽やかな水色、女の子が好きそうなピンクのツリーもあったりして。

同じ緑色でも、黄緑っぽいのから濃い抹茶みたいな緑だったりと、色だけでも実に多種多様。

どれにしようかと悩んだけど、寿々花さんは緑色好きだって言ってたし。

ここはやっぱり定番を責めるべきだろうと、結局「これぞクリスマスツリー」みたいなスタンダードな緑色をチョイス。

選択肢の幅は色だけではなく、大きさも様々だった。

卓上サイズのミニツリーから、俺の背丈ほどもあるデカいものまで。

置き場に困っていないとはいえ、あまりに大き過ぎても持て余すと思って。

120センチと150センチで最後まで悩んで、結局、選んだのは150センチのツリーである。

いや、三千円くらいしか値段変わらなかったからさ。

多分、家庭用で扱えるギリギリの大きさだと思う。

幸い我が家のリビングは天井も高いし、150センチのツリーを置いても、狭苦しくなるようなことはない。

部屋が広いって素晴らしい。まぁその分掃除するのは大変だけどな。

「わ〜。おっきいツリー。おっきいね〜」

寿々花さん、初めてのクリスマスツリーに大歓喜。

早速喜んでくれて嬉しいが、まだ早いぞ。

現在のツリーは、まだ素っ裸状態。

ここから、別売りで買ってきたツリー用のオーナメントやリボン、寿々花さんリクエストの金ピカの星を飾り付けるのである。

この飾り付けが楽しいんだよ。なぁ?

でっかいツリーをオーナメントで埋め尽くすほど、たくさん買ってきたからな。

赤、青、白、金色に銀色。等々。

お好きなのを、お好きなだけどうぞ。

「わー。いっぱいある〜」

瞳に星が輝いてるのが見える。キラッキラの目。

いやぁ、この笑顔を見られるなら、頑張って買ってきた甲斐があるってもんだよな。

「一緒にやろう、悠理君。一緒に飾り付けしよー」

「いや、俺は…。寿々花さん、やりたかったんだろう?思う存分、好きなようにデコレーションして良いぞ」

「うん。でも私、悠理君と一緒に飾り付けしたい」

…とのこと。

その楽しみ、俺に分けちゃって良いのか。

「…じゃあ、てっぺんの星は寿々花さんが付けろよ」

「うん、そうするー」

下の方だけ、俺も少し手伝うよ。
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