アンハッピー・ウエディング〜後編〜
それから二人で、せっせとクリスマスツリーの飾り付けをした。

いやはや。童心に帰って、これが意外と楽しかった。

よくよく考えたら俺も、クリスマスツリーを飾るなんて何年ぶりだろうな。

実家にもクリスマスツリーはあったが、勿論実家のツリーはこんなに大きくないし。

それに、律儀に毎年ツリーを飾っていたのは俺が小学校低学年くらいの頃までで、ここ数年は押し入れにしまいっぱなしだった。

今思えば、勿体ないことしたな。

折角あるんだから、飾れば良かった。クリスマスツリー。

…で、俺のことはともかく。

俺でさえ楽しんでいるくらいなのだから、寿々花さんの喜びようは、そりゃあもう大層なものだった。

「見て見て、悠理君。てっぺんにお星様ー」

「はいはい、落っこちるなよ」

飾り付けの最後に、寿々花さんは踏み台に乗り。

ツリーのてっぺんに、特大の金ピカの星を飾った。

おぉ。やっぱりてっぺんに星がくっつくと、途端にクリスマスツリーって感じがするな。

「悠理君、出来た」

「良かったな」

完成したクリスマスツリーを、しげしげと眺めてみる。

…カラフルなオーナメントを飾り過ぎて、えらくごてごてしてる気もするが。

まぁ良いんじゃないか?多少派手でも。

折角のクリスマスなんだから。

「よし、それじゃ…点灯するぞ」

「わーい。楽しみ」

いよいよだな。

ツリーの電源を、コンセントにぶっ刺し。

カチッ、と電源をオンにする。

すると、ツリーにくっついた無数の電飾が、チカチカと光り始めた。

赤、青、白、ピンク、紫…色んな色がついたり消えたり。

寿々花さんが最後に飾り付けた、ツリーのてっぺんの金ピカの星は、ひときわ大きく光り輝いていた。

おぉ…めっちゃ綺麗。

部屋の電気消してツリーだけ点灯したら、もっと綺麗なんじゃね?

「寿々花さん、電気…って、うぉっ!?」

「…」

振り向いて、寿々花さんの顔を見てぎょっとした。

あろうことか寿々花さんは、クリスマスツリーを見ながら涙ぐんでいたからである。

「どっ…どうした?何かあったか、どっか痛いのか…!?」

あたふた。

思ってるのと違ったのか。嬉しそうに飾り付けしてたから、これで満足してると思ってたけど…なんか違うのか?

もし希望に添わないなら、今すぐこのクリスマスツリーは返品…するか。

あるいは、雛堂に押し付ける。

「な、何だ?大丈夫か?思ってたクリスマスツリーと違ったのか…!?」

「…!」

必死にあたふたと話しかけると、寿々花さんはハッとして、そしてくるりとこちらを振り向いた。
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