アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「プレゼントだけじゃなくて、パーティーそのものも面倒臭いしなー…。注文したチキンをケ●タッキーに取りに行ったり、その足で、今度は予約しておいたケーキを取りに行ったりさぁ…」

余程毎年苦労しているのか、盛んに愚痴る雛堂である。

良いじゃん。たまには愚痴らせてやってくれよ。

何だかんだ言いつつ、ちゃんと下の子達見ててあげて偉い。
 
兄弟のいない俺には、分からない苦労がたくさんあるんだろうなって。

「このケーキがまーた大変。揉め事の種は大抵、このケーキなんだわ」

「え、何で…?」

クリスマスケーキ、子供は好きだろ?

何で揉めるんだ?喜んで食べるんじゃないのか?

「まず、どのクリスマスケーキにするか決めるのが大変でしょうね。普通の白いデコレーションケーキにするか、チョコにするかイチゴにするか抹茶にするか、チーズケーキにするか…」

「そう!真珠兄さん、それだよ。あんた分かってるな」

「人間の数は欲望の数ですからね。分かりますよ」

成程、そういうことか。

分かってないのは俺だけだった。

うちは一人っ子だから、クリスマスケーキで揉めるということはなかった。

クリスマスケーキの予約表を眺めて、「今年はどのケーキにする?」と聞かれれば、その時の気分で自分の好きなケーキを選ぶことが出来た。

しかし、兄弟が多いとそうは行かない。

さぞや…仁義なき争いが繰り広げられるんだろうなー…。
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