アンハッピー・ウエディング〜後編〜
兄弟の多いクリスマスパーティーなんて、俺には想像することしか出来ないけどさ。

雛堂の疲れた顔を見ていたら、どれくらい大変なのか窺えるというものだ。

苦労してんなぁ…雛堂。

「いっそアソートケーキにしたら…?色んな種類が入ってる奴…」

「一緒だよ。今度はそのアソートケーキの取り合いで揉めるわ」

「あ、そっか…」

「俺はチョコが良いのに!」「僕も!」「○○が勝手にチーズケーキを取った!」みたいな。

終わらない争い。

食べ物の恨みって恐ろしいからな。ましてやクリスマスケーキなんて、子供達皆が楽しみにしてるものだし。

「毎年揉めるのが嫌だからさ、クリスマスは毎年6号の真っ白なデコレーションケーキ、ってことで固定することにした」

うん。その方が良いって。

個人の希望を無視するのは可哀想だけど、毎年これ、ってことに決めてしまえば、余計な争いは生まれない。

「それでも毎年不満は出るけどさ。でもいちいち希望を聞いてたらキリないし。嫌なら食うなってことで」

「そうか…」

「そうまでしてるのに、やれプレゼントが気に入らないの、クリスマスディナーはチキンじゃなくてハンバーグが良いだの、ケーキの大きさが均等じゃないだの、我儘のオンパレードだよ」

…本当、苦労してんなぁ。

寿々花さんよ、我儘ってのはこういうことを言うんだぞ。

雛堂のところのチビ達は、何だかんだ我儘を言える、我儘を言うことを許されている子供達なんだな。

それだけ、普段から雛堂が面倒見てやってるってことだ。

…本当に苦労してんだなぁ。

「毎年毎年、クリスマスシーズンになるとこれだよ。あー面倒臭い。自分も悠理兄さんとこでクリスマスパーティーやりたかったわ」

「…いっそ、ハロウィンの時みたいに、遅れても良いからクリスマスパーティーするか?」

24日や25日じゃなくても、何日か遅れても良いから…ハロウィンの時みたいに。

しかし。

「残念ながら無理だなぁ…。そうすると年末が近いし。年末もやること多いんだわ。大掃除だの餅付きだの…」

あぁ…そういうこと。

クリスマスが終わったら、一気に年末だもんなぁ。
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