アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「学校も冬休みになるし…。夏休みの間は、チビ共も友達の家に遊びに行けるけどさ。世間の子供達って大抵、年末年始はじーさんばーさんの家に帰省するだろ?」

「そうだな」

うちはそういうのなかったから、羨ましい話ではあったけどな。

「すると、チビ共と遊んでくれる友達が皆いなくなっちゃう訳。遊びに出かけられないから、必然的に家にいる時間が長くなって…」

「…で、ここでも年長者の雛堂が、そのチビ達の相手をしなきゃいけないってことだな?」

「そうなんだよ。ご明察!本当疲れるぁ〜…」

…お疲れ様、雛堂。

手伝ってやりたいところだけど、兄弟のいない俺では、何の戦力にもならないだろうな。

「だから、折角だけどクリスマスパーティーは無理だな。…悠理兄さんちのクリスマスツリー、自分も見たかったんだけどなー」

「写真…いや、ムービーで良ければ、今度撮ってくるよ…」

「どっちにしても、僕もクリスマスパーティーに参加することは出来ないので、無理ですね」

と、乙無が言った。

「へぇ?何だよ真珠兄さん。クリスマス、何か予定でも入ってんの?…彼氏とデートとか?」

そこはせめて、彼女、って言ってやれよ。

危うくお茶を吹くところだった。

「クリスマスは聖夜ですよ?忌々しい聖神ルデスの虚栄を象徴したかのような、忌まわしい日なんです」

…あ、うん。

「クリスマスなんて、邪神の眷属たる僕が祝う訳にはいきません。この世を呪い、忌まわしい聖神ルデスを呪い、偉大なる邪神イングレア様の威光を信じない全ての愚かな人間共をのろ、」

「あーはいはいいつものな、いつもの」

「ちょっと、いつものって何ですか。話を最後まで聞いてください」

うるせぇ。雛堂の苦労話はともかく、そんな中二病発言を聞いてられるか。

要するに、あんたは暇だってことだろ?
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