アンハッピー・ウエディング〜後編〜
さて。
クリスマス当日に、寿々花さんと出掛ける約束は取れた。
そこで俺は、25日までに、寿々花さんへのクリスマスプレゼントを何にするかを考えなければならなくなった。
これがまた難題であった。
…何が良いんだろうなぁ…。寿々花さんへのプレゼント…。
授業中も余所事ばっかり考えて。
危うく、今日の放課後、園芸委員の仕事があるんだってことを忘れるところだったよ。
ボケーっとしながら帰りかけて、「そういや今日水曜日だった」と気がついて。
急いで、新校舎の中庭に駆けつけた。
危うく忘れて帰るところだった。危ねぇ。
「あら、悠理さん。ごきげんよう」
「お、遅れて済みません…」
ボーッとしていたせいで、中庭には既に小花衣先輩がいて。
先に、ホースで花壇の花に水をあげているところだった。
…不覚っ…。
「一年坊主の癖に、先輩に先に仕事をさせて良いご身分だな、おい」と言われても文句を言えないところだったが。
「いいえ、良いのよ。気にしないで」
いつも通り、小花衣先輩はたおやかな笑みを浮かべていた。
この人が怒るところも見たことねぇよな…。怒ることあるんだろうか。
「ホームルームが長引いたのかしら?」
「いや、あの…。そういう訳じゃなくて…」
普通に忘れていたんです、とも言えず。
それどころか、忘れてそのまま帰るところだったなんて、絶対言えない。
「て、手伝います」
「ありがとう」
俺も同じくホースを持って、花の水やりを手伝った。
水をやった後は草むしりをして、萎れた葉っぱや枯れた花を摘み取る。
暖かい時期は、肥料や栄養剤をあげたり、新しい花を植えたりなどの作業もあったが。
今は冬なので、園芸委員の仕事はそれほど多くない。
二人がかりで、あっという間に仕事が終わった。
良かった。
「はい、おしまい。今日もお手伝いしてくれてありがとう、悠理さん」
「いえ、そんな…」
俺も一応、(望んでのことではないが)園芸委員だから。
「悠理さんがお世話を手伝ってくれるから、お花達もきっと喜んでると思うわ。熱心に世話をしてあげたら、お花達にも優しさが伝わるものなのよ」
うふふ、と微笑みながら、小花衣先輩は綺麗に咲いている花を撫でるように言った。
「は、はぁ…。そうっすか…」
俺は小花衣先輩と違って、花を愛でる優雅な趣味は持ち合わせてないもので…。
そういう宗教じみた話をされても、いまいちピンと来ないって言うか…。
「悠理さんって、本当にお花が好きなのね」
「え?」
「だって、いつも欠かさず、水曜日に園芸委員の仕事を手伝ってくれるでしょう?他の男子部の園芸委員の方は、来たり来なかったり…。去年なんか、一度も来てくれなかった方もいらっしゃるのよ」
「…」
…それは…。
無責任だと思うけど、気持ちが分からないとは言わない。
男子部の委員会活動は、女子部と違って立候補制じゃないからな。
多分、その去年の男子部園芸委員は、やりたくもないのに、俺みたいにあみだくじか何かで無理矢理決められたのだろう。
だから、一度も手伝いに来なかったんだろうな。
気持ちは分かるけど、それとこれとは別の話だろうに。
やりたくなくてもやってる奴だっているんだぞ。…俺みたいにな。
かと言って、俺だって真面目だとは言い切れない。
委員の仕事だからと思って、渋々来ているだけで…。
今日なんて、忘れてそのまま帰るところだったし…。
クリスマス当日に、寿々花さんと出掛ける約束は取れた。
そこで俺は、25日までに、寿々花さんへのクリスマスプレゼントを何にするかを考えなければならなくなった。
これがまた難題であった。
…何が良いんだろうなぁ…。寿々花さんへのプレゼント…。
授業中も余所事ばっかり考えて。
危うく、今日の放課後、園芸委員の仕事があるんだってことを忘れるところだったよ。
ボケーっとしながら帰りかけて、「そういや今日水曜日だった」と気がついて。
急いで、新校舎の中庭に駆けつけた。
危うく忘れて帰るところだった。危ねぇ。
「あら、悠理さん。ごきげんよう」
「お、遅れて済みません…」
ボーッとしていたせいで、中庭には既に小花衣先輩がいて。
先に、ホースで花壇の花に水をあげているところだった。
…不覚っ…。
「一年坊主の癖に、先輩に先に仕事をさせて良いご身分だな、おい」と言われても文句を言えないところだったが。
「いいえ、良いのよ。気にしないで」
いつも通り、小花衣先輩はたおやかな笑みを浮かべていた。
この人が怒るところも見たことねぇよな…。怒ることあるんだろうか。
「ホームルームが長引いたのかしら?」
「いや、あの…。そういう訳じゃなくて…」
普通に忘れていたんです、とも言えず。
それどころか、忘れてそのまま帰るところだったなんて、絶対言えない。
「て、手伝います」
「ありがとう」
俺も同じくホースを持って、花の水やりを手伝った。
水をやった後は草むしりをして、萎れた葉っぱや枯れた花を摘み取る。
暖かい時期は、肥料や栄養剤をあげたり、新しい花を植えたりなどの作業もあったが。
今は冬なので、園芸委員の仕事はそれほど多くない。
二人がかりで、あっという間に仕事が終わった。
良かった。
「はい、おしまい。今日もお手伝いしてくれてありがとう、悠理さん」
「いえ、そんな…」
俺も一応、(望んでのことではないが)園芸委員だから。
「悠理さんがお世話を手伝ってくれるから、お花達もきっと喜んでると思うわ。熱心に世話をしてあげたら、お花達にも優しさが伝わるものなのよ」
うふふ、と微笑みながら、小花衣先輩は綺麗に咲いている花を撫でるように言った。
「は、はぁ…。そうっすか…」
俺は小花衣先輩と違って、花を愛でる優雅な趣味は持ち合わせてないもので…。
そういう宗教じみた話をされても、いまいちピンと来ないって言うか…。
「悠理さんって、本当にお花が好きなのね」
「え?」
「だって、いつも欠かさず、水曜日に園芸委員の仕事を手伝ってくれるでしょう?他の男子部の園芸委員の方は、来たり来なかったり…。去年なんか、一度も来てくれなかった方もいらっしゃるのよ」
「…」
…それは…。
無責任だと思うけど、気持ちが分からないとは言わない。
男子部の委員会活動は、女子部と違って立候補制じゃないからな。
多分、その去年の男子部園芸委員は、やりたくもないのに、俺みたいにあみだくじか何かで無理矢理決められたのだろう。
だから、一度も手伝いに来なかったんだろうな。
気持ちは分かるけど、それとこれとは別の話だろうに。
やりたくなくてもやってる奴だっているんだぞ。…俺みたいにな。
かと言って、俺だって真面目だとは言い切れない。
委員の仕事だからと思って、渋々来ているだけで…。
今日なんて、忘れてそのまま帰るところだったし…。