アンハッピー・ウエディング〜後編〜
その後俺は、コーヒーショップを出て雛堂と別れ。

それからしばらく、ショッピングセンターをぶらぶら歩いていた。

「…おっ…」

ふと、とあるお店の前で立ち止まった。

というのも、クリスマスグッズがたくさん売られていたからだ。

卓上のクリスマスツリーや、サンタクロースの絵が描かれたクッキー缶、雪だるまのスノードームを始め。

フランスにいる椿姫お嬢様が送ってくれた、アドベントカレンダーも売っていた。

これって結構お高いんだな。

俺は足を止めて、雑貨屋さんらしきそのお店を眺めた。

このお店なら、俺でも普通に入れそうだ。

成程、小花衣先輩が言っていたことの意味が分かった。

クリスマスプレゼントに何を買うのか、決めてから買いに来るんじゃなくて。

お店に買いに来てから、何を買うのか決めるという、あの方法。

確かに、こういうお洒落な雑貨屋さんを眺めていると、「あれも良いな」、「これも良いな」って思う。

寿々花さんへのクリスマスプレゼントは、さっき玩具コーナーで買ったのだが…。

…いたいけな女児に、ロリコン疑惑を植え付けられたせいで。

割と適当に決めちゃって、ろくにちゃんと選べてなかったんだよな。

そう思うと、何だか申し訳なくなってきて。

そうだ。改めて、このお店でもう一つ、プレゼントを選んでみようか。

「…よし」

俺はお洒落な雑貨屋さんに入って、あれこれと見て回った。
 
クリスマスグッズの他にも、冬らしいグッズがたくさん売っていた。

手袋とかマフラーとか。電子レンジで温めるカイロなんてものまである。

へー、便利そう。

でも、うちの寿々花さんは、そういう実用的なものより。

キラキラしてて、眺めて楽しめるものの方が良い気がする。

何せ、未だに飽きずに毎日クリスマスツリーを眺めては。

「もういくつ寝るとー♪クリスマス〜♪」って歌ってるくらいだからな。

…あの歌好きだよな、寿々花さん。

気づけば鼻歌歌ってるような人だから、意外と音楽好きなのかしれない。

と、思い至ったその時。

「…あっ…」

そんな、音楽が好きで、おまけにクリスマスらしくて、キラキラした商品を。

寿々花さんにうってつけの、お洒落なクリスマスグッズを見つけた。

気がつけば、俺はその商品を手に取り。

すぐさま、レジに持っていった。





…その後、買い物を済ませてから自分も帰宅した。

買ってきた、二つのクリスマスプレゼントは…翌々日のクリスマス当日に備えて、こっそり自分の部屋に隠しておくことにした。

問題は、明日だな。

明日のクリスマスイブ、円城寺と出掛ける寿々花さんが、どんな一日を過ごすのか。

想像するだけで、胸の中のもやもやが収まらない。
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