アンハッピー・ウエディング〜後編〜
テーブルの上には、みかんを数個と、アイスクリーム。

そして、大きな土鍋でほかほかと湯気をあげるおでん。

そう、これをやらなきゃ冬はやって来ない。

コタツでみかん、コタツでアイスクリーム、コタツでお鍋。

鉄板だな。

「ぽかぽかしながらアイスクリーム食べるの、美味しいね。幸せだねー」

「だろ?」

アイスクリーム大好きな寿々花さん、これにはクリスマスツリーを片付けて落ち込んでいたことも忘れ。

ほっこりとした笑みを浮かべて、バニラアイスをスプーンですくっていた。

見てるこっちまで、思わず口元が緩みそうになる。

じゃあ、俺も食べるかな。

「寿々花さん。おでん食べるか?取ってやろうか」

「食べるー」

と言うので、寿々花さんの取り皿におでんを取ってあげた。

おでんの具材は至ってシンプル。大根とちくわと卵と…その他諸々。

おでんに何を入れるかって、その家庭によって様々だと思うが…。

うちの実家は、里芋と木綿豆腐を入れるのが定番の味。

おでんの出汁がしみて、これが美味しいんだわ。とても。

「…美味いか?」

「はふはふ。美味しい」

「良かった」

二人してコタツに入って、はふはふ言いながらおでんを食べる。

こういうつまらないことを共有出来るのが、大きな幸福だと感じる今日この頃である。
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