アンハッピー・ウエディング〜後編〜
しかし、コタツを出して、ほっこりしてばかりはいられない。
というのも。
クリスマスが終わったら、いよいよ年末。
そろそろ、年越しの準備をしなくてはならないのだ。
年末と言えば、やることがたくさんあるだろう?
大掃除に始まり、餅つき、年賀状作り。
年末年始はスーパーが大変混むので、買い物に行くのも一苦労である。
学校は休みだけど、冬休みの宿題があるしな。
やることたくさん。大忙し。
まずは一番の大物、大掃除から済ませようと。
エプロンをつけて、あちこち拭いたり掃いたりしていると…。
「…じーっ」
「はっ…!」
背中に、寿々花さんの視線を感じた。
「ど、どうした…?」
俺は雑巾を片手に振り向いた。
コタツを出してからというもの、今度はコタツに夢中らしく。
毎日コタツにすっぽり収まって、今日も朝からコタツでお絵描きをしていたはずの寿々花さんが。
いつの間にか、俺の背後に立っていた。
気配なく立つのやめてくれないか。ビビるから。
「悠理君…何してるの?」
「何って…。見ての通り、掃除だけど…」
あ、そうか。
「ごめん。ゴソゴソしてうるさかったか?」
気が散るからあっちに行ってくれ、と言われるのかと思ったら。
そういう訳ではないらしく。
「悠理君、いつもお掃除してるのに、今日もお掃除するの?」
「年末だからな。大掃除してるんだよ」
「ほぇー。大掃除…」
「今年中に、何処か掃除して欲しいところあるか?」
この辺汚いからやっておいて、とか。
如何せん家が広いから、普段は隅々まで掃除出来ないんだよ。
今流行りの自動掃除機、あれ、買うべきかなぁ。
お高いんだろ?あれ。なんか勿体無いような気がして、手が出ないんだよな。
「掃除…。大掃除…」
「…寿々花さん?」
「…よし」
寿々花さんが、何かを決意した。
…何だろう。嫌な予感。
「悠理君、私もお掃除手伝う。お手伝いさせて」
出た。寿々花さんの、謎のやる気。
「いや、良いって。お嬢様のやることじゃないから。俺がやるから…」
「悠理君が頑張ってるのに、私だけボーッと座ってる訳にはいかないもん」
大変素晴らしい心掛けである。
その気持ちは有り難いんだが、でも寿々花さんの掃除って…。
…思い出す。階段で、頭からバケツいっぱいの水を被ったことを。
…あれは…嫌な事件だったな…。
あれの再来はやめて欲しいのだ。何としても。
「…出来るのか?寿々花さん…」
「うん、頑張る。悠理君みたいに、家の中ぴっかぴかにするよ」
またしても、素晴らしい心掛け。
…不安は大きく残るが。
ならば、この心掛けに応えるのが、せめて俺が寿々花さんにしてあげられることだろう。
良いじゃないか、多少失敗しても。
この寒い時期に、またしても頭から水を被るのは遠慮したかったが。
やる気を出しているうちにやらせて、褒めて伸ばす。
子育てしてるような気分だな。
「よし、分かった…。じゃあ、寿々花さんに重大な任務を与える」
「おぉっ…。何でありますか、隊長」
誰だよ。
「…風呂掃除、頼む」
びしょ濡れにされる前に、いっそびしょ濡れになっても良い場所の掃除を頼もうという腹である。
というのも。
クリスマスが終わったら、いよいよ年末。
そろそろ、年越しの準備をしなくてはならないのだ。
年末と言えば、やることがたくさんあるだろう?
大掃除に始まり、餅つき、年賀状作り。
年末年始はスーパーが大変混むので、買い物に行くのも一苦労である。
学校は休みだけど、冬休みの宿題があるしな。
やることたくさん。大忙し。
まずは一番の大物、大掃除から済ませようと。
エプロンをつけて、あちこち拭いたり掃いたりしていると…。
「…じーっ」
「はっ…!」
背中に、寿々花さんの視線を感じた。
「ど、どうした…?」
俺は雑巾を片手に振り向いた。
コタツを出してからというもの、今度はコタツに夢中らしく。
毎日コタツにすっぽり収まって、今日も朝からコタツでお絵描きをしていたはずの寿々花さんが。
いつの間にか、俺の背後に立っていた。
気配なく立つのやめてくれないか。ビビるから。
「悠理君…何してるの?」
「何って…。見ての通り、掃除だけど…」
あ、そうか。
「ごめん。ゴソゴソしてうるさかったか?」
気が散るからあっちに行ってくれ、と言われるのかと思ったら。
そういう訳ではないらしく。
「悠理君、いつもお掃除してるのに、今日もお掃除するの?」
「年末だからな。大掃除してるんだよ」
「ほぇー。大掃除…」
「今年中に、何処か掃除して欲しいところあるか?」
この辺汚いからやっておいて、とか。
如何せん家が広いから、普段は隅々まで掃除出来ないんだよ。
今流行りの自動掃除機、あれ、買うべきかなぁ。
お高いんだろ?あれ。なんか勿体無いような気がして、手が出ないんだよな。
「掃除…。大掃除…」
「…寿々花さん?」
「…よし」
寿々花さんが、何かを決意した。
…何だろう。嫌な予感。
「悠理君、私もお掃除手伝う。お手伝いさせて」
出た。寿々花さんの、謎のやる気。
「いや、良いって。お嬢様のやることじゃないから。俺がやるから…」
「悠理君が頑張ってるのに、私だけボーッと座ってる訳にはいかないもん」
大変素晴らしい心掛けである。
その気持ちは有り難いんだが、でも寿々花さんの掃除って…。
…思い出す。階段で、頭からバケツいっぱいの水を被ったことを。
…あれは…嫌な事件だったな…。
あれの再来はやめて欲しいのだ。何としても。
「…出来るのか?寿々花さん…」
「うん、頑張る。悠理君みたいに、家の中ぴっかぴかにするよ」
またしても、素晴らしい心掛け。
…不安は大きく残るが。
ならば、この心掛けに応えるのが、せめて俺が寿々花さんにしてあげられることだろう。
良いじゃないか、多少失敗しても。
この寒い時期に、またしても頭から水を被るのは遠慮したかったが。
やる気を出しているうちにやらせて、褒めて伸ばす。
子育てしてるような気分だな。
「よし、分かった…。じゃあ、寿々花さんに重大な任務を与える」
「おぉっ…。何でありますか、隊長」
誰だよ。
「…風呂掃除、頼む」
びしょ濡れにされる前に、いっそびしょ濡れになっても良い場所の掃除を頼もうという腹である。