アンハッピー・ウエディング〜後編〜
洗剤まみれの服を着替えてもらって、念の為に転んでぶつけた頭に氷のうを乗せてから。

寿々花さんにはリビングで待機してもらって、俺はその間に家中の掃除を済ませた。

…ホッ。やっと終わった。

年末の大掃除が終わると、なんだかこう、やり遂げた感があるよな。

これで心置きなく、去る年を見送ることが出来るって言うか…。安心して年を越せるって言うか…。

とにかく、大仕事が終わってホッとした。

おでこを風呂の床とゴッツンコした寿々花さんも、全然痛くないらしくてけろっとしていたし。何よりだ。

さてはあんた、やっぱり石頭だな?

そのことに何よりホッとしたよ。

しかし、安心してばかりはいられない。

年末の大仕事は、これだけではないからである。





「悠理君、今度は何してるのー?」

大掃除の翌日。

朝からリビングで、せっせと作業しているところに。

寿々花さんが、ちょこちょこと歩み寄ってきた。

どうも。いらっしゃい。

「年賀状作りだよ」

これも、毎年年末にやらなければならない仕事の代表格だよな。

昨今では、メールで済ませる人も多くなっているようだが。

やっぱり紙の年賀状には、紙の良さがある…と、いうのは口実で。

毎年送ってるものだし、毎年送られてくるもんだから、今年も送らなきゃいけない。

そういうものだろ?年賀状って。

お互い「そろそろやめたいなぁ」と思いつつも、タイミングを逃して結局毎年送ってる。

一人二人くらい、そういう人いない?

俺もそれだよ。

小学校の時の同級生とか、中学の時の担任の先生とか。

実家にいた頃近所に住んでた人とか、親戚とか…。

あとは、今年から雛堂と乙無も追加された。

年々増えていくばっかりだよ。やれやれ。
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