アンハッピー・ウエディング〜後編〜
一緒にお出掛けと聞いて、寿々花さんはそれはもう、うきうきと嬉しそうに支度を始めた。

いや…ごめん。張り切ってるところ悪いけど、ただの初詣なんだけど…。

しかも、めっちゃ近所の…小さな神社。

折角なら、もっと遠くの…大きな神社にしようか?

でも、場所分かんないしな…。

…あ、そうだ。

「ついでに、ショッピングセンターに福袋でも見に行くか?」

「ふぇ?」

「折角出掛けるのに、近所の神社だけじゃつまらないだろう?」

時間ならあるのだ。

二人共、他に予定はないし。

「福袋?何の福袋?」

「それは…何でも良いんじゃないか?服とか…」

「服?今着てるので充分だけどなー」

…とか、言いながら。

寿々花さんはまたしても、昨日の女番長コートを羽織った。

おい。それを着ていくつもりかよ。

「別の上着にしろよ」

「え、何で?これしか持ってない」

「そうか。よし、福袋買いに行くぞ」

決定。もう決定事項。

あんたのコート買わなきゃ駄目だわ。もっとまともな奴。

まず先に神社に行って初詣をして…それから、コートを買いにショッピングセンターに行こう。

…それまで、この「女番長」の隣を歩かなきゃいけないのかと思うと。

俺、女番長に付き従う下僕みたいに見えるんじゃね…?

どうか、学校の知り合いに見られないことを祈る。
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