アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「どうでも良いって何ですか。大事なことですよ」

不満げな乙無。はいはい。

「分かった、分かった。後で聞くから。それより、男子部は今日から新学期だけど…」

「…けど?」

「…女子部は今日じゃないらしい。来週、週明けからだって」

「…!」

俺がそう言うと、雛堂は思わず、宿題を写す手を止めた。

「は…?何で?どゆこと?」

「それが…。俺は今日から新学期だと思って支度してたんだけど、寿々花さんが…」

「今日はまだ冬休みだって?」

「うん。話が噛み合わないから、お互いの1月の月間予定表を見比べたら…」

男子部は今日、1月4日から。

女子部は来週、1月9日から。

それぞれ学校が始まるらしいということを、俺は二人に話して聞かせた。

どちらかが印刷ミスなのか…とも思ったが。

「成程…。確かに今日は、新校舎の方がやけに静かだと思ってましたが…」

「マジで?冬休みの長さが男女でちげーの?意味不明なんだけど!」

俺だって意味不明だよ。

でも…乙無の言う通りだ。

いつもは新校舎の横を通る時、通りすがる女子生徒達が聞こえてくるのに。

今日は全くの無人だったし、新校舎の校門も閉まっているようだった。

ということは…やっぱり…。

「何で男子部だけ、こんなはえーの?何で?」

「さぁ…分からない…」

男子部だけ、不自然に短い冬休み…。

おまけに、通常は授業が始まる前に行われるはずの始業式は、今日ではなく来週…。

…何だか嫌な予感がする。

「この学園のやることですからね。…あまり喜ばしい理由ではないでしょうね」

「あぁ…。俺もそう思うよ」

そして、案の定。

俺達にも週末まで休む権利がある、と。

男子部の生徒全員で示し合わせて、8日までストライキを起こして休めば良かった。

俺達は、そう思って後悔することになるのだった。
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