アンハッピー・ウエディング〜後編〜
女子部の生徒が、優雅に冬休みを満喫しているその頃。

正月三が日が終わるなり、早々に学校に駆り出された、俺達男子部の生徒は。

「…なぁ、自分ら、何やってんの?」

「さぁ。…俺に聞くな」

「この学校のいつものやり方じゃないですか。僕はもう驚きませんよ」

淡々と答える乙無。

あんたは腹が据わってんなぁ。

俺もそうなれたらと思うよ。中二病にはなりたくないけどな。

でもな、簡単に納得出来ない、俺や雛堂の気持ちも理解して欲しいんだよ。

多分、うちのクラスの大半が俺達と同じこと考えてると思う。

…何で、新学期早々…またしても。

新校舎の大掃除をやらされなければならないのか、と。

意味不明過ぎるだろ。女子部の生徒が冬休みを楽しんでいるというのに。

俺達男子部の生徒は、早々に登校させられたかと思うと。

女子生徒がいない間に、新校舎をまるまる大掃除しろ、だってよ。

自分らの校舎くらい、自分らで掃除しろ。

尊いお嬢様達に、そんな雑用仕事はさせられません、ってか?

それならせめて、業者を雇うなり何なりして、外部の人間に掃除してもらったら?

何で、何かと言えば俺達が雑用係に駆り出されなきゃいけないんだよ。

完全に俺達、無料で行使出来る労働力としてカウントされてんな。

おまけにこの新校舎、女子生徒達がまだ登校していないから、暖房も動いてない。

寒い中、冷たい雑巾で廊下拭きをさせられる、俺達の身にもなってくれよ。

掃除してたら暖かくなるから、大丈夫だろうって?

誰だよ、それ言った奴。

ここに連れてきてみろ。バケツの水、頭からぶっかけてやる。

冗談じゃねぇぞ。俺達、こんなことの為に、正月三が日終わってすぐ登校させられたのか?

乙無じゃないけど、羊羹でも食べて心を慰めないとやってられねーぞ。

結局俺達は、丸一日かけて。

男子部の全校生徒で力を合わせて、徹底的に新校舎の大掃除をした。

皆して、不満タラタラだった。

…しかし、こんなものはまだまだ序の口だということを。

翌日、俺達は嫌と言うほど分からされる羽目になる。
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