アンハッピー・ウエディング〜後編〜
三学期二日目、つまり1月5日のこの日。

俺達は、どうして男子部の生徒だけが早めに冬休み明けしたのか、その理由を知った。

それは新校舎の大掃除の為であり、ひいては…。

…来年度新入生の、入学試験準備の為であった。





「…なーにやってんだろうな。自分ら…」

「…言うな…」

昨日は、一日中新校舎の大掃除。

そして今日は、朝から入学試験問題の束を科目ごとに分け、束ね、一つの封筒に入れる。

という作業を、ひたすら行っていた。

授業?そんなものはない。

授業が始まるのは、来週の月曜日から。

つまり、寿々花さん達女子部の新学期が始まってからだ。

それまで俺達は、入学試験準備の手伝いをやらされているのである。

強制的にな。

何で男子部だけ4日から新学期なのか、ようやく分かった。

朝学校に来て、「今日は入学試験問題の整理をしてください」と先生に言われて。

それで理解した。

この学校、今週末が入学試験の受験日なんだってさ。

月間予定表、よくよく見たら書いてあったよ。

在校生には関係ないと思って、全然注意を払っていなかった。

分かるよ。入学試験の準備、大変だもんな。

試験問題用意して。受験会場の準備して。

聖青薔薇学園は、男子部はご覧の通り過疎ってるけど。

女子部の方は、毎年たくさんの新入生を迎えている。

当然、受験者の数も相当なものだろう。

だから手伝いが欲しかったんだろうな。入学試験の手伝いをしてくれる人。

そこで駆り出されたのが、俺達男子部の生徒である。

これまでも散々、こき使われてきたけどさぁ。

まさか、その為に冬休みまで短縮されるとは思ってなかったよ。

正月三が日休めたんだから、それだけで
も感謝しろって?

うるせぇ。畜生。

新校舎の入学試験なんだから、新校舎の生徒が手伝えよ。

何で俺達が雑用係、しかもただ働きさせられなきゃならないんだ。

皆俺と同じことを考えていたし、声を大にしてそう叫びたかった。

…が、この学校において、男子生徒がいくら声を上げても無意味というものである。

全員、文句を言いたい気持ちを抑えつつ…。

「はぁ…」

せめてもの抵抗に、ただ溜め息をつきながら。

黙って、割り当てられた作業を黙々とこなすのだった。
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