アンハッピー・ウエディング〜後編〜
帰りの挨拶しに来たんだろ?あんた。

だったら、さっさと挨拶してさっさと帰れよ。

いつまでうだうだ言ってんだ。

「いい加減無月院家の息女として自覚を持って、それ相応の振る舞いを身に着けて欲しいものだね。そうでなきゃ、婚約を復活させる気にはならないよ?」

何を偉そうに。上から目線で…。

…え?婚約を復活?

これには、寿々花さんもポカン。

「冬になったら、まだ日本に戻ってくる。それまでに、少しでも自覚を持って態度を改めること。そうすれば、前向きに考えてあげないこともないからね」

…どんだけ上から目線なの?あんた。

王子様か?王子様のつもりなのか?

って、前向きに考えるって、何をだよ?

もしかして、寿々花さんとの婚約のこと…?

「本当に君の隣に相応しいのは誰か。今一度よく考えてみるべきだよ」

「…」

「それじゃ、僕は行くよ。元気で」

一方的に、言いたいことを好きなだけ言って。

円城寺は、颯爽と帰っていった。

…冬に戻ってくる、って言ったな?

さてはあいつ、また訪ねてくるつもりかよ。

もう二度と来なくて良いぞ。

…寿々花さんの隣に、誰が相応しいかって?

そんなの、あんたが決めることじゃないだろうが。

本ッ当…何回会っても、気に食わない奴だよ。

「…何だったんだろ?今の…」

きょとん、と首を傾げている寿々花さんである。

「さぁ。俺にも分からん」

…とりあえず。

厄除けに、玄関に塩撒いておこうぜ。

…と思ったけど、あいつの為に塩を使うの勿体ないからやめておいた。
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