アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「だから悠理君、お願い。私に、悠理君のレポートを書かせて」

寿々花さんに、拝むようにして頼まれてしまった。

「…」

ストーカー行為に、弁解の余地はないが。

寿々花さんに悪意はない。むしろ、真面目に勤勉に、彼女なりに真剣に課題に取り組もうとしていたのだ。

レポートの提出期限は来週。しかも、驚異のレポート用紙20枚分。

さぞや大変な課題だろう。

今週末にでも書き始めないと、もう間に合わないはずだ。

…また、外堀を埋めてきたな。

ここで俺が断ったら、寿々花さんのここまでの色々な努力がパー。

おまけに、期限までにレポートを提出することも出来ず。

成績を落とす、ひいては生物の単位を落とすことにも繋がりかねない。

それは、学校1の秀才である寿々花さんの評価に、大きな傷をつけることである。

そんなの、寿々花さんも、俺も、望むところではない。

よってここは、俺が首を縦に振ることで、寿々花さんの課題を手助け…、





…する訳ねーだろ。ふざけんな。

「却下だ」

「がーんっ!」

それとこれとは話が別だ。さっき言ったろうが。
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