アンハッピー・ウエディング〜後編〜
寿々花さんの、手話の才能に感心しながら電車に乗り。

一時間かけて、キノコ博物館の最寄り駅に到着。

土曜日なだけあって、私服姿の若い買い物客が大勢。

多分、これからショッピングや映画館などに出掛けるのだろう。

俺達くらいのもんだよ。これからキノコ見に行こうとしてんのは。

「悠理君、ここからどうやって行くの?歩くの?バスで行く?」

「えーと…。バスで行けるけど、歩いていけなくもない。片道30分くらいだって」

片道30分…。往復だと一時間だから、結構疲れそうだな。

既に一時間、電車に乗ってきた訳だし…。

「疲れるだろ。バスで行くか?」

「ううん、悠理君と一緒ならいつまででも、何処まででも一緒に歩いていけるよ、私」

何?その自信。

よく分からないけど、歩いていくってことで良いんだな?

よし、分かった。

じゃあ、とりあえず行きは歩こうか。

帰りは、疲れてたらバスに乗れば良いや。その時考えよう。

「えーと、アプリで道案内を…。…駅北口から真っ直ぐ…だから、こっちだな。よし、行くぞ」

「おー!」

謎に張り切る寿々花さんと共に、キノコ博物館に向かって歩き始めた。

迷わず辿り着けると良いんだが。如何せん、土地勘がない場所だから。




…しかし、そんな俺の心配は杞憂に終わり。

30分後、俺達は無事に『見聞広がるワールド キノコ博物館』に到着した。



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