アンハッピー・ウエディング〜後編〜
キノコ博物館を後にし。

帰り道はさすがに疲れたので、バスに乗って駅まで戻った。

そこからまた電車に乗って、一時間かけて自宅近くの最寄り駅に到着。

折角出掛けたんだから、本当はもっとゆっくりしたかった。

ショッピングセンターに寄ったり、とかさ。

でも残念ながら、俺達にそんな時間はない。

楽しくキノコ博物館を満喫する…のも結構だけど。

何の為に、わざわざこんなところまで来てキノコを鑑賞したのか思い出せ。

今週中に、生物の課題レポートを仕上げなければならないんだ。

レポート用紙20枚だもんな。相当の枚数だぞ。

帰ったら、速攻で机に向かって、レポート作成に着手しなければ。

「寿々花さん…大丈夫か?レポート、書けそうか?」

心配になって、俺はそう尋ねた。

博物館を見て回ってる間、全然メモを取ってる様子はなかったが。

ちゃんと覚えてるか?レポート、書けるか?

2、3枚のレポートじゃないんだぞ。20枚だぞ?

大学の卒業論文並みじゃね?知らんけど。

俺だったら、例え一週間くらい毎日キノコ博物館に通ったとしても、20枚もレポートなんて書けないよ。

何を書けば良いんだ?そんなに。

博物館で見掛けた、あのキノコガチ勢の人なら、それくらい軽く書けそうだけどな。

でも、俺は一般人だから。無理。

いくら寿々花さんでも、さすがにキツいんじゃないかと心配だったが…。

「うん。多分大丈夫ー」

意外と、軽いノリで返事をした。

…本当かよ?

「…手伝えること、何かあったら言ってくれよ」

…と言っても、俺の乏しいレポート執筆能力じゃ、寿々花さんを手伝うどころか。

むしろ、足を引っ張ってしまいそうな気がするが。

でも、その他に役に立てることがあるなら、何でもやるよ。

「うん。悠理君、ありがとー」

…いつも通り、呑気そうなぽやーん顔。

…本当に大丈夫なんだよな…?

…。

…うん。

いざとなったら、最終奥義を使おう。

ウィ●ペディアさんの力を借りるってことで。

…え?不正?

うるせぇ。丸写しじゃないなら良いんだよ。参考にする程度だ。

そのくらいなら許してもらえ…る?だろうか。
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