アンハッピー・ウエディング〜後編〜
すると、乙無がこんなことを言い出した。
「バレンタインって、女性から男性にチョコレートをプレゼントするイベントなんですよね?」
「ん?あぁ、そうだな」
「それ、男性は一方的にチョコレートをもらいっぱなしってことですか」
そう聞くと、非常に不平等なイベントのように聞こえるが。
「ホワイトデーがあるじゃん」
「ホワイトデー?」
「バレンタインの翌月に、男性から女性に、チョコのお礼を渡すイベントがあるんだよ」
バレンタインはチョコを渡すのが一般的だが、ホワイトデーはマシュマロとか、クッキーとか…。
とにかく、一方的に男だけもらいっぱなしってことはない。
むしろ男は、バレンタインの3倍返しが基本、とまで言われるからな。
しみったれたお返しだと、その男の器量が知れるというものだ。
まぁ、最近はそこまで厳密じゃないと思うけど。
同額程度のお返しで充分だろう。…多分。
俺も本命チョコなんてもらったことがないから、世間一般のバレンタインの常識なんて分かんねぇや。
「ふーん…。まぁ、今の世の中は男女平等が一般的ですからね」
「この学校は、男女平等からはかけ離れてるけどな」
それを言うな。それを。
時代に逆行した学校…いや、むしろ昔からの伝統を遵守しているからこそ、こうなのか。
「だったら、女性からバレンタインチョコをもらうのを待っているんじゃなくて、むしろ男性の方からバレンタインチョコを渡せば良いのでは?」
と、乙無が言った。
…ほう。男の方から。
逆転の発想だな。それは…確かにアリかもしれない。
で、ホワイトデーに女性からお返しをもらえたら嬉しいよな。
あるいは、ホワイトデーを待たずに、バレンタインに互いにチョコを送り合うか?
それも良いかもしれない。
最近は、女性からではなく、男性がバレンタインチョコをプレゼントするパターンも増えてるみたいだし。
男女平等だな。
「男女の枠組みに囚われる必要、あります?」
「…!確かに…。なんか夢がない気もするけど、でも何ももらえないよりはマシだな…」
これには、雛堂もちょっと絆されている。
夢がないとか言うな。良いだろ別に。
バレンタイン男女平等社会だよ。
「…よし、じゃあ悠理兄さん。チョコパフェのヤケ食いはやめにして、お互いにチョコをプレゼントし合おう」
「は?」
「友チョコって奴だな!本命の代わりにはならんけど、ノーチョコよりはマシだろ」
…雛堂、あんたまた…何を勝手に決めてんだ?
しかも。
「悠理兄さんの料理腕前を活かした、美味しい手作りチョコを期待してるよ」
「は?」
二度目の「は?」が出てしまった。
…いや、マジで。は?
手作りチョコ?何勝手に決めてんの?
何が嬉しくて、野郎の為に手作りチョコなんて。
「自分は今週末に、その辺のデパートで買ってくるから。こうしちゃいられねぇ。どんなチョコ買うか決めないとなー」
「おい待て、雛堂。何を勝手に決め、」
「じゃ、来週のバレンタイン。楽しみにしてるからなー!」
ちょっと待てって。勝手に話を終わらせようとするな。
しかし。
雛堂を咎めようとしたその瞬間に、まるで測ったかのように、休憩時間終了を告げるチャイムの音が鳴った。
「…諦めるしかないということですね。ご愁傷様です」
「…乙無…」
あんた…他人事だと思って。
気の毒だと思って、ちょっと雛堂を庇ったばかりに…。
…嘘だろ?
「バレンタインって、女性から男性にチョコレートをプレゼントするイベントなんですよね?」
「ん?あぁ、そうだな」
「それ、男性は一方的にチョコレートをもらいっぱなしってことですか」
そう聞くと、非常に不平等なイベントのように聞こえるが。
「ホワイトデーがあるじゃん」
「ホワイトデー?」
「バレンタインの翌月に、男性から女性に、チョコのお礼を渡すイベントがあるんだよ」
バレンタインはチョコを渡すのが一般的だが、ホワイトデーはマシュマロとか、クッキーとか…。
とにかく、一方的に男だけもらいっぱなしってことはない。
むしろ男は、バレンタインの3倍返しが基本、とまで言われるからな。
しみったれたお返しだと、その男の器量が知れるというものだ。
まぁ、最近はそこまで厳密じゃないと思うけど。
同額程度のお返しで充分だろう。…多分。
俺も本命チョコなんてもらったことがないから、世間一般のバレンタインの常識なんて分かんねぇや。
「ふーん…。まぁ、今の世の中は男女平等が一般的ですからね」
「この学校は、男女平等からはかけ離れてるけどな」
それを言うな。それを。
時代に逆行した学校…いや、むしろ昔からの伝統を遵守しているからこそ、こうなのか。
「だったら、女性からバレンタインチョコをもらうのを待っているんじゃなくて、むしろ男性の方からバレンタインチョコを渡せば良いのでは?」
と、乙無が言った。
…ほう。男の方から。
逆転の発想だな。それは…確かにアリかもしれない。
で、ホワイトデーに女性からお返しをもらえたら嬉しいよな。
あるいは、ホワイトデーを待たずに、バレンタインに互いにチョコを送り合うか?
それも良いかもしれない。
最近は、女性からではなく、男性がバレンタインチョコをプレゼントするパターンも増えてるみたいだし。
男女平等だな。
「男女の枠組みに囚われる必要、あります?」
「…!確かに…。なんか夢がない気もするけど、でも何ももらえないよりはマシだな…」
これには、雛堂もちょっと絆されている。
夢がないとか言うな。良いだろ別に。
バレンタイン男女平等社会だよ。
「…よし、じゃあ悠理兄さん。チョコパフェのヤケ食いはやめにして、お互いにチョコをプレゼントし合おう」
「は?」
「友チョコって奴だな!本命の代わりにはならんけど、ノーチョコよりはマシだろ」
…雛堂、あんたまた…何を勝手に決めてんだ?
しかも。
「悠理兄さんの料理腕前を活かした、美味しい手作りチョコを期待してるよ」
「は?」
二度目の「は?」が出てしまった。
…いや、マジで。は?
手作りチョコ?何勝手に決めてんの?
何が嬉しくて、野郎の為に手作りチョコなんて。
「自分は今週末に、その辺のデパートで買ってくるから。こうしちゃいられねぇ。どんなチョコ買うか決めないとなー」
「おい待て、雛堂。何を勝手に決め、」
「じゃ、来週のバレンタイン。楽しみにしてるからなー!」
ちょっと待てって。勝手に話を終わらせようとするな。
しかし。
雛堂を咎めようとしたその瞬間に、まるで測ったかのように、休憩時間終了を告げるチャイムの音が鳴った。
「…諦めるしかないということですね。ご愁傷様です」
「…乙無…」
あんた…他人事だと思って。
気の毒だと思って、ちょっと雛堂を庇ったばかりに…。
…嘘だろ?