アンハッピー・ウエディング〜後編〜
後悔先に立たず、とはこのことである。

恨むなら、迂闊に雛堂を励まし、同情した自分を恨むんだな。

俺はもう金輪際、雛堂の構ってちゃんモードに付き合うのやめるよ。

ろくなことにならないって分かった。

…で、改めて。

雛堂のせいで、俺は今年、バレンタインチョコを手作りする羽目になってしまった。

…不平等じゃね?雛堂は買ってきた市販のチョコなんだろ?

それなのに、俺は手作りなの?何で?

俺も買ってきたいよ。楽だもん。

そう思って、ネットで市販のバレンタインチョコを探してみたところ。

その値段に、思わず仰天してしまった。

これまでバレンタインなんて、俺にとっては全く無縁のイベントだから、ろくに調べてみたこともなかったが…。

バレンタインチョコって、結構高いものなんだな。

足元見た値段って言うか…。

一粒千円クラスの、超高級チョコまで売ってる。

マジかよ。この一粒で板チョコ10枚分?

冗談みたいな値段だな。

比較的安いものでも、一箱三千円とか五千円とか…。

千円くらいのものもあるけど、やっぱりそれなりの値段のものはそれなり、って言うか…。

千円以下のチョコは、一箱の中に一口サイズのチョコが二、三個入ってるだけだったり。

あるいは、量は多くても、いかにも安物っぽい…駄菓子みたいなチョコレートだったり。

それに比べると三千円以上のチョコレートは、やはりそれなりに高級感があって、ボリュームもそれなりにあって。

うーん…。当たり前だけど、良いものを買おうと思ったら、良いお値段がするってことだな。

それがよく分かった。

すると貧乏性の俺は、こう思ってしまう訳だ。

市販のチョコに何千円も出すくらいだったら、手作り出来るんじゃないかと。

悪い癖だよな、これ、もう。何でも手作りしようとしてしまって。

そりゃ俺の手作りなんて、市販のチョコとは比べ物にならないクオリティの低さだろうけど。

でも、雛堂は手作りが良いって言ってたし…。

チョコレートに何千円も払うの、勿体ないし…。

…。

…うん、分かった。

以前はお菓子作りなんて、ろくにやったことなくて苦手だったけど。

最近の俺は、ハロウィンケーキや、クリスマスにカップケーキ作ったりもして、ちょっとずつお菓子作りの腕も上がってきた(つもり)。

だったら、そのにわかパティシエの腕を振る舞うとしよう。
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