アンハッピー・ウエディング〜後編〜
更に翌日。の、月曜日。

この日は2月の12日で、14日のバレンタインデーには少し早いが。

大抵の人は、この土日でチョコレートを調達しているだろうから。

バレンタインデーを待たずに、今日、ちょっと早めのチョコを持ってきている人が多いんじゃないだろうか。

俺もその一人である。

特に手作りチョコを製作した人は、衛生面の観点からも、出来るだけ早目に渡したいはず。

いくら真冬だからって、手作りチョコを何日も冷蔵庫に保管してたら、ちょっと心配になるだろ?

自分で食べるのなら、俺は多少賞味期限切れてても勿体なくて食べるタイプだから、気にしないけど。

未開封の賞味期限にはそこまで厳しくないつもりだが、開封済みだったり、ましてや消費期限だった場合は、諦めて捨てる。

手作りチョコの賞味期限なんて分からないし、出来るだけ早目に渡しておいた方が良いだろう。

そんな訳で俺は早速、土曜日に作ったばかりのチョコレートを持っていった。

…今更だけど、この学校って、バレンタインチョコ持ってきても良いんだろうか。

バレたら没収とかある?

大抵の学校は、お菓子の持ち込みは禁止だと思う。

が、バレンタインデーだけは大目に見てくれる…学校もあれば。

バレンタインだろうが関係なく、お菓子が見つかったら即没収、反省文。という学校もあるだろう。

本当は、学校に持ってくるんじゃなくて、放課後に家まで呼んで渡すべきなんだろうな。

でも、それじゃ面倒だし。

それに、多分大丈夫だよ。見つからないよきっと。

え?根拠?

だって、これまで既に、学校にゲーム機持ってきたりキノコのクッション持ってきたり、色々やってる馬鹿な友人がいるが。

結局あれ、バレなかっただろ?

誰一人密告者はいないし、雛堂が何を持ってきていたとしても、黙って生暖かい目で見守ってくれる。

いやぁ、うちのクラスメイトは皆優しいな。

今回もその優しさを発揮して、俺がバレンタインチョコを持ってきているのを見つけても、大目に見てくれ。

精々、バレないようにこっそり渡すよ。






「雛堂、乙無。持ってきたぞ、バレンタインチョコ」

昼休みに早速、俺は雛堂と乙無の二人にバレンタインチョコを差し出した。
< 552 / 645 >

この作品をシェア

pagetop