アンハッピー・ウエディング〜後編〜
再び春兆す頃の章3
…えーと、一応確認しておきたいんだけど。

「寿々花さんが行きたいって言ってるゲームセンターって…。俺の知ってる普通のゲーセンのことだよな?」

「そうなのかな?私、行ったことないから分かんない」

あ、そうか…。

俺の知ってるゲーセンと寿々花さんが行きたがってるゲーセンは、果たして同じものなのだろうか。

…ゲーム機やソフトを売ってるゲーム屋のことじゃないよな?

クレーンゲームとか、メダルゲームとかが出来る、あのゲーセンのことだよな。

「悠理君、ゲームセンター知ってる?行ったことある?」

「まぁ…何度かな。俺もそう度々通ってた訳じゃないけど…」

中学の頃、放課後に友達と付き合ってゲーセンに立ち寄ったことがある。

が、そんなに頻繁に通っていた訳じゃない。

如何せん、放課後にゲーセンに立ち寄るのは校則違反だったもんで。

学校にバレたら厄介なことになるから、敢えてリスクを犯す気にはなれなかった。

「良いなぁ。色んなゲームがあって、楽しいところなんでしょ?」

うきうき、と好奇心いっぱいの表情で聞いてきた。

…期待してるところ悪いけど。

「どうかな…。寿々花さんのお眼鏡に適うかどうかは…」

遊園地とは訳が違うからな。

あ、でも寿々花さんって、めっちゃくちゃゲーム上手いから。

案外、ゲーセンはハマるのかもしれない。

「…やっぱり駄目かな?我儘かな?」

俺が煮え切らない返事をするせいか、表情を曇らせる寿々花さん。

まさか。

「我儘じゃねぇよ。分かった、今度…週末にでも、一緒に行こう」

「わーい、やったー。悠理君とお出かけ。楽しみだな〜」

両手を上げて、大袈裟に万歳して喜んでいらっしゃる。

高校2年生にもなって、ゲーセン初体験とは。

…さて、そうと決まれば。

この辺の近くにあるゲーセン、調べておかないとな。
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