アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「相変わらず繁盛してんな、お前の店は…」

「でしょう?一号店…本店が大人気で、こうして二号店を出店させてもらいました」

…ん?

もしかして、この店のオーナーか誰か…?

「こんな悪趣味な店、絶対すぐ潰れると思ってたのにな…」

「ちょっとルルシー?そんなこと思ってたんですかっ?」

「だってそうだろ?今ここに来てるお客さんに、ここで使ってるメニューの材料の正体を教えてみろよ。全員嘔吐して、そして二度と来ないぞ」

…えっ?

「失礼な。自慢の無添加天然素材ですよ?」

「知ってるよ。…で、このオムライスに使ってる卵は何だ?」

え、オムライス?

って、俺が今さっき食べたブラックオムライスのこと?

「オムライスの卵ですか?シェルドニアアンコクキョダイヒキガエルの卵です」

「ほらな。言わんこっちゃない」

…。

…俺、今ヒキガエルの卵を食べ、

「おっと、ルルシー。これ以上は営業妨害ですよ。その可愛いお口はチャックしてもらいましょうか」

「誰が可愛いお口だ。…まぁ、知らない方が幸せなことってあるからな…」

それきり、二人の会話は聞こえなかった。

…の、だが。

…俺が今食べたオムライスの正体や、如何に。

…うん。

何も聞かなかったということで。美味しかったんだからセーフ。
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