アンハッピー・ウエディング〜後編〜
これ何なの?どうなってんの?
フリーズしてる?エンジン止まってる?石化してるのか?
どっか痛いのか。それとも熱でもあるのか?
俺に対して怒ってるのか。どうなんだ?
せめて返事くらいしてくれないか。
「…おーい…。もしもーし。大丈夫か…?」
「…」
「どっか痛いのか。俺がいない間に、何かあったのか…?」
そう尋ねた瞬間。
「…!」
寿々花さんは弾かれたように、ハッとして、それからくるりとこちらを向いた。
あ、動いた…。
良かった。石化してる訳じゃないみたいだ。
「大丈夫か…?」
「…悠理君…」
あ、喋った…。
良かった。意識的に無視されているのかと思ったが、そうじゃないようだ。
「どうしたんだ?ボーッとして…。寿々花さんがボーッとしてるのはいつものことだけど、今日はまた一段と…」
俺が帰ってきたことにも気づかないくらいボーッとしてるのは、初めてだ。
昼寝してるならともかく、別に寝てる訳でもなく…。
「大丈夫か?どっか痛いのか」
「…ううん」
ふるふる、と首を横に振る寿々花さん。
痛くはないらしい。
「じゃあ…何だ。怒ってるのか?俺が帰ってくるの遅かったから…」
「ううん」
ふるふる、と首を横に振る寿々花さん。
怒ってるんじゃないらしい。
良かった…。…良かったのか?
じゃあ、何でボーッとしてたんだ?
「それじゃあ、他に…えーと…。…怖い夢でも見たか?」
「…夢…」
寿々花さん、いつも色んな夢を見るだろう?
今日は特別に夢見が悪かった、とか…。
って、そんな単純な問題じゃな、
「…そうだね。夢…。私にとっては幸せな夢過ぎて、目が覚めた今の方が…悪夢に思えるのかも…」
ボソッ、と寿々花さんは何かを呟いた。
「え?何か言った?」
「…ううん、何でも」
またしても寿々花さんは、ふるふる、と首を横に振った。
…?
「…本当にどうしたんだ?」
「別に…。何でもないよ」
「いや、何でもないってことはないだろ…。俺がいない間に何かあったのか?」
「…」
寿々花さんは俺の問いに沈黙して、答えない。
…何かあったな。多分。間違いない。
俺がいない間に、何か…。
でも、それって…俺が無理矢理聞き出しても良いことなんだろうか?
プライバシーの侵害って奴なのでは?
「…」
寿々花さんはソファの上で体育座りをしたまま、俯いて、無言だった。
…こんな寿々花さん、見たことないが。
どう考えても、俺に詮索されたくないのは明らかだった。
聞かない…方が良いのかな?少なくとも、今日は…。
「えっと…その…」
「…」
なんて言えば良いのか。なんと言うべきなのか?
必死に脳みそを絞って、出てきた言葉は。
「…カレーとハヤシライス、どっち食べたい?」
…満を持して出てきた言葉が、夕飯の献立かよ。
我ながら馬鹿。
でも、他になんて言ったら良いのか分からなかったんだよ。
フリーズしてる?エンジン止まってる?石化してるのか?
どっか痛いのか。それとも熱でもあるのか?
俺に対して怒ってるのか。どうなんだ?
せめて返事くらいしてくれないか。
「…おーい…。もしもーし。大丈夫か…?」
「…」
「どっか痛いのか。俺がいない間に、何かあったのか…?」
そう尋ねた瞬間。
「…!」
寿々花さんは弾かれたように、ハッとして、それからくるりとこちらを向いた。
あ、動いた…。
良かった。石化してる訳じゃないみたいだ。
「大丈夫か…?」
「…悠理君…」
あ、喋った…。
良かった。意識的に無視されているのかと思ったが、そうじゃないようだ。
「どうしたんだ?ボーッとして…。寿々花さんがボーッとしてるのはいつものことだけど、今日はまた一段と…」
俺が帰ってきたことにも気づかないくらいボーッとしてるのは、初めてだ。
昼寝してるならともかく、別に寝てる訳でもなく…。
「大丈夫か?どっか痛いのか」
「…ううん」
ふるふる、と首を横に振る寿々花さん。
痛くはないらしい。
「じゃあ…何だ。怒ってるのか?俺が帰ってくるの遅かったから…」
「ううん」
ふるふる、と首を横に振る寿々花さん。
怒ってるんじゃないらしい。
良かった…。…良かったのか?
じゃあ、何でボーッとしてたんだ?
「それじゃあ、他に…えーと…。…怖い夢でも見たか?」
「…夢…」
寿々花さん、いつも色んな夢を見るだろう?
今日は特別に夢見が悪かった、とか…。
って、そんな単純な問題じゃな、
「…そうだね。夢…。私にとっては幸せな夢過ぎて、目が覚めた今の方が…悪夢に思えるのかも…」
ボソッ、と寿々花さんは何かを呟いた。
「え?何か言った?」
「…ううん、何でも」
またしても寿々花さんは、ふるふる、と首を横に振った。
…?
「…本当にどうしたんだ?」
「別に…。何でもないよ」
「いや、何でもないってことはないだろ…。俺がいない間に何かあったのか?」
「…」
寿々花さんは俺の問いに沈黙して、答えない。
…何かあったな。多分。間違いない。
俺がいない間に、何か…。
でも、それって…俺が無理矢理聞き出しても良いことなんだろうか?
プライバシーの侵害って奴なのでは?
「…」
寿々花さんはソファの上で体育座りをしたまま、俯いて、無言だった。
…こんな寿々花さん、見たことないが。
どう考えても、俺に詮索されたくないのは明らかだった。
聞かない…方が良いのかな?少なくとも、今日は…。
「えっと…その…」
「…」
なんて言えば良いのか。なんと言うべきなのか?
必死に脳みそを絞って、出てきた言葉は。
「…カレーとハヤシライス、どっち食べたい?」
…満を持して出てきた言葉が、夕飯の献立かよ。
我ながら馬鹿。
でも、他になんて言ったら良いのか分からなかったんだよ。