アンハッピー・ウエディング〜後編〜
帰ったら、今日の『ブラック・カフェ』について話そう、とか。

寿々花さんも興味があるようだったら、今度一緒に行こう、とか。

誘うつもりだったのに、それどころじゃなかった。

夕飯作りどころでもない。

一体どうしてしまったんだ、寿々花さんは。

今すぐ部屋に追いかけていって、何があったのかと尋ねたかった。

が、寿々花さんが俺に詮索されたがっていないのは、一目瞭然。

部屋まで押しかけて尋ねても、話してくれるかどうか。

話してくれたとしても、嫌がってるのに無理矢理聞き出すような真似はしたくなかった。

…気持ちの整理とか、する時間が必要?なのかな。

多分、今は放っておいて、そっとしておくべき…なんだろうけど。

でも、俺にとってこの待ち時間は、さながら地獄のようだった。

しばらく、リビングの中をうろうろしてみたが。

どうしようもないので、とにかくキッチンに行って、買ってきたものを冷蔵庫にしまった。

で、今日の夕飯は…結局、どうしよう?

少し考えたけど、こんなことで悩んでる自分が馬鹿馬鹿しくて。

結局、カレーにした。

もしかしたら、やっぱり気が変わって戻ってくるかも、という期待を込めて、二人分作って待ってたんだけど…。

やはり、その日はもう、寿々花さんがリビングに戻ってくることはなかった。
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