アンハッピー・ウエディング〜後編〜
翌日。

日曜日のその日、折角の休みだというのに、俺はろくに眠れずに、浅い眠りから目を覚ました。

言うまでもなく、一晩中、寿々花さんの様子が気になってた。

本人は「病気じゃない」と言ってたし、熱もないようだったけど…やっぱり、体調悪いんじゃないかと思って。

俺が寝てる間に容態が急変して…なんてことになったら大事なので、心配でろくに眠れなかった。

寿々花さんが起きてくることを期待して、早目に起きて、朝ご飯作って待ってたんだが。

それも、いつもの和食の朝ご飯じゃなくて。

今日はちょっと趣向を変えて、フレンチトーストにしてみた。

いつもだったら、喜んで飛びつくであろうメニューを用意して待っていたのに。





「…」

俺は、ちらりと時計を見上げた。

時刻は、午前11時過ぎ。

朝と呼ぶには、既に遅い時間だ。

…いっこうに起きてこないんだけど。寿々花さん、本当に大丈夫か?

いよいよもって、心配になってきた。

部屋に押しかけるような真似はしたくない…と思っていたが。

さすがにそろそろ、そんなこと言ってられないんじゃないのか?

様子…見に行った方が良いんじゃねぇの?

…非常に心配。

折角のフレンチトーストが…もう冷めきってカッチカチだよ。

休みの日の寿々花さんが、正午前まで起きてこないのは稀によくあることだが。

昨日の夜のことがあるので、やはり捨て置くことは出来ない。

…起こしに行くか、せめて様子を見に行ってこよう。

そう思って、立ち上がったその時。

「あ…寿々花さん…」

「…」

丁度起こしに行こうと思ったタイミングで、のそのそ、のろのろと寿々花さんが起きてきた。

それは良いのだけど、その顔を見てびっくりした。

いつもなら寝ぼけ眼で、あくびしながら起きてくる寿々花さんが。

「ど…どうしたんだ…!?」

髪の毛が鳥の巣のようにボサボサ…なのは、いつものことだが。

この日は、目の下にどす黒いクマを作って、何処からどう見てもやつれた人といった有り様。

これはただ事ではない。すぐにそう思った。
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