アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「割り切った関係になってしまえば楽なのに、それが出来ないんでしょう?それが悠理さんの素直な気持ちなんでしょう」

「…」

「だったらうじうじ悩んでないで、その気持ちを真っ直ぐ伝えたらどうですか」

そう言われて、俺も、雛堂もハッとした。

…素直な気持ちを…真っ直ぐに…?

「真珠兄さん…!あんた…イケメンか…?」

…確かに。

今だけは、中二病じゃないな。

格好良い中二病だ。

「自分の気持ちをぶち撒けて、その上で嫌われるのなら、それはどうしようもないことです。でもどうせ砕けるなら…」

「当たって砕けた方がマシ、ってことか…」

「まぁ、悠理さんのお好きにどうぞ。現状維持してうじうししてたいなら、そうすれば良い。ただ…」

…ただ?

「これ以上先生の質問を無視し続けて、反抗とみなされて職員室に呼ばれても、僕は助けませんからね」

「…。…分かったよ」

雛堂も乙無も、それぞれ自分のやり方で励まし、背中を押してくれたのだ。

友人達にここまで気を遣わせて、これ以上うじうじしてる訳にはいかないじゃないか。

…腹は決まった。

「…分かった。…俺、当たって砕けることにするよ」

「えぇ、それでこそ悠理さんです」

「大丈夫だ。例え当たって砕けても、欠片くらいは拾ってやるよ」

それは頼もしいな。

「…雛堂、それに乙無。…あんたらがいて良かったって、今日初めて思ったよ」

「…今日かよ」

「今日だ」

「…喜んで良いのか分かんねぇな…」

「つまり、これまではいなくて良かったってことですか…?」

そうは言ってないが。

友達って良いもんだなぁと思った。
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