アンハッピー・ウエディング〜後編〜
「…ごめん、困るよな。こんなこと言われても」
言いたいことを言いたいだけ言って、俺はようやくすっきりした。
けど、寿々花さんにとっては迷惑千万だよな。
突然何を言い出すんだ、しかも留学という大きな一歩を踏み出そうとしている寿々花さんの、出鼻を挫くような…。
何を勝手なことを、と怒られても文句は言えな、
「うん、分かった。行かない」
えっ。
ちょ…今、なんて?
「…ご、ごめん。もう一回言ってくれるか?」
「留学、行かない。やめる」
…えっ…。
「な、何でそうなるんだよ?」
「?悠理君、さっきまで行くなって言ったのに」
「い、いや…それは言ったけど…。でも、あれは俺の勝手な我儘であって…。俺の言うことを聞く必要なんてないんだ」
「だったら、これも私の勝手な我儘だよ。悠理君が気にする必要なんてないの」
なっ…何だと。
「それとも、悠理君は私にいなくなって欲しいの?」
「そ…!そんなことは言ってないだろ」
逆だよ。むしろ。
いなくなって欲しくないから、必死に止めようとして…。
「でも…いくら行って欲しくなくても、行く『べき』ではあるだろ?」
何度も言うけど。
この長期留学は、寿々花さんの将来にとって大事な、
「だって行きたくないんだもん。行かない」
…駄々っ子かよ。
「留学…する『べき』なのは分かってるよ。円城寺君も…そう言ってたし…」
は?円城寺?
何で今、あいつの名前が出てくるんだ?
「何で円城寺…?いつ喋ったんだ?」
「?土曜日に悠理君がお友達と出掛けてる時…。椿姫お姉様から留学資料が届いたのと同じ日、円城寺君が訪ねてきたんだ」
何だと。聞いてないぞそんなの。
あいつ、俺がいない間に勝手に我が家に上がったのか。
何様のつもりだ?
不法侵入者として、警察に突き出してやれば良かったものを。
「そうしたら円城寺君、強く留学を勧めてきて…。その時に…悠理君と私は釣り合わない、って…」
「…釣り合わない?俺と…寿々花さんが?」
「うん…」
それは…痛いところを突かれた。
俺と寿々花さんが釣り合わないのは、誰がどう見ても分かることだ。
寿々花さんは無月院本家のお嬢様で、一方俺は下っ端分家の…。
「寿々花さんも…そう思うのか。俺とあんたは釣り合わないって…」
「…うん。だって、ほんとに釣り合わないもん」
「…そうだな…」
分かっちゃいたけど、寿々花さんにまで肯定されると心に来るな。
…しかし。
「だって、悠理君は何でも出来るでしょ」
「…は?」
「お料理は上手だし、何でも自分で作っちゃうし、物知りだし…。女の子の格好するのも上手だし」
それ、俺のこと褒めてる?それとも貶してる?
いや、それより…何の話だ?
「私にない、良いところがいっぱいある。私じゃ悠理君に釣り合わないよ」
「…そっち…?」
俺は、思わずそう呟かずにはいられなかった。
言いたいことを言いたいだけ言って、俺はようやくすっきりした。
けど、寿々花さんにとっては迷惑千万だよな。
突然何を言い出すんだ、しかも留学という大きな一歩を踏み出そうとしている寿々花さんの、出鼻を挫くような…。
何を勝手なことを、と怒られても文句は言えな、
「うん、分かった。行かない」
えっ。
ちょ…今、なんて?
「…ご、ごめん。もう一回言ってくれるか?」
「留学、行かない。やめる」
…えっ…。
「な、何でそうなるんだよ?」
「?悠理君、さっきまで行くなって言ったのに」
「い、いや…それは言ったけど…。でも、あれは俺の勝手な我儘であって…。俺の言うことを聞く必要なんてないんだ」
「だったら、これも私の勝手な我儘だよ。悠理君が気にする必要なんてないの」
なっ…何だと。
「それとも、悠理君は私にいなくなって欲しいの?」
「そ…!そんなことは言ってないだろ」
逆だよ。むしろ。
いなくなって欲しくないから、必死に止めようとして…。
「でも…いくら行って欲しくなくても、行く『べき』ではあるだろ?」
何度も言うけど。
この長期留学は、寿々花さんの将来にとって大事な、
「だって行きたくないんだもん。行かない」
…駄々っ子かよ。
「留学…する『べき』なのは分かってるよ。円城寺君も…そう言ってたし…」
は?円城寺?
何で今、あいつの名前が出てくるんだ?
「何で円城寺…?いつ喋ったんだ?」
「?土曜日に悠理君がお友達と出掛けてる時…。椿姫お姉様から留学資料が届いたのと同じ日、円城寺君が訪ねてきたんだ」
何だと。聞いてないぞそんなの。
あいつ、俺がいない間に勝手に我が家に上がったのか。
何様のつもりだ?
不法侵入者として、警察に突き出してやれば良かったものを。
「そうしたら円城寺君、強く留学を勧めてきて…。その時に…悠理君と私は釣り合わない、って…」
「…釣り合わない?俺と…寿々花さんが?」
「うん…」
それは…痛いところを突かれた。
俺と寿々花さんが釣り合わないのは、誰がどう見ても分かることだ。
寿々花さんは無月院本家のお嬢様で、一方俺は下っ端分家の…。
「寿々花さんも…そう思うのか。俺とあんたは釣り合わないって…」
「…うん。だって、ほんとに釣り合わないもん」
「…そうだな…」
分かっちゃいたけど、寿々花さんにまで肯定されると心に来るな。
…しかし。
「だって、悠理君は何でも出来るでしょ」
「…は?」
「お料理は上手だし、何でも自分で作っちゃうし、物知りだし…。女の子の格好するのも上手だし」
それ、俺のこと褒めてる?それとも貶してる?
いや、それより…何の話だ?
「私にない、良いところがいっぱいある。私じゃ悠理君に釣り合わないよ」
「…そっち…?」
俺は、思わずそう呟かずにはいられなかった。