アンハッピー・ウエディング〜後編〜
家を出てから、猛ダッシュで学校に向かい。

「はぁ…はぁ…。…間に合った…」

始業開始のベルが鳴る前に、何とか教室に滑り込んだ。

危ないところだった。…紙一重だったぞ。

「お、星見の兄さんが来た」

「あまりに遅いから、今日はお休みかと思いました」

教室に駆け込んできた俺を見て、雛堂と乙無が言った。

「珍しいなー。星見の兄さんが遅刻ギリギリとは。寝坊でもしたか?」

図星だよ。うるせぇ。

「ほぼ毎日、遅刻ギリギリ登校のあんたに言われたくねぇっての…」

「確かに。そりゃちげーねぇ」

「…それより悠理さん、大丈夫ですか?やけに顔が赤いですけど」

と、乙無。

あ?顔が赤い?

「この暑さの中走ってきたんだから、そりゃ赤くもなるだろ」

まだ朝だというのに、既にこの暑さ。

そこを走ってきたのだから、真っ赤な顔になってもおかしくないだろ。

しかし、乙無は。

「いや、そういう意味ではなく…」

と、言おうとしたが。
 
そこで、始業開始のチャイムが鳴り響いた。

おっと。喋ってる暇はない。席につかないと。

話を中断して、俺は自分の席に座り、学生鞄を机に置いた。

椅子に腰を下ろした瞬間に、頭がふらっとした。

…やべ。

走ってきたからかな…酸欠を起こしてるのかも。

ともあれ、学校に間に合って良かった。

寿々花さんも、間に合ってると良いのだが…。
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